食糧高騰が止まらない!逆手にとった国内農業投資ビジネス

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   食料高騰が深刻になってきた。小麦やトウモロコシ、大豆など国際価格の急上昇のあおりで、パン類やスパゲティー、大豆の価格が値上がりしている。中国やインドなどの新興国の需要急伸が背景にあるだけに、高止まり状態が続きそうだ。

   食の輸入大国ニッポンは大丈夫か。「クローズアップ現代」は、この危機をビジネスチャンスと捉えた商社や大手スーパーの動きを取り上げた。

小麦・大豆・トウモロコシ高止まり

   埼玉県深谷市のスーパーは7月上旬(2011年)に食パンを128円から138円、ジャムパン、クリームパンを80円から90円に値上げするなど、パン類を中心に100品目以上を一斉に価格改定した。きっかけは6月に仕入れ先から届いた1枚の通知。「7月1日店着より小麦粉関係製品については価格が上がります」と書かれていた。理由は小麦の国際価格の高騰だ。

   大豆も同じだ。大豆の輸入を長年手掛ける輸入商社の社長は、今年は南米産大豆の豊作で値下がりすると見ていたが、予想は外れ高値傾向が続いているという。丸紅経済研究所の柴田明夫代表によると、価格高騰の動きが市場で顕在化したのは2007年から08年にかけてという。それまで大豆の国際価格は過去30年間トン当たりほぼ200ドル前後で推移してきた。アメリカなどの干ばつで10年に1度の割で急騰することはあっ

   ても、干ばつが収まれば値は下がった。

ところが、07年から08年にかけて歴史的高値を付けた後は、リーマン・ショックの需要減で一時的に値下がりしたものの、下落は過去の高値レベルまで。増産も追いつかない状態で再び上昇し始めたという。OECD(経済開発協力機構)は少なくとも今後10年間、高止まり状態が続くと見ている。

   その影響は「単に商品の値上がりにとどまらない」と柴田は次のように言う。

「チェジニアに端を発し、中東全域に広がった市民革命の動きの根っこには食料高騰があった。食料は一瞬で独裁政権を転覆させる引き金になる政治材料をつくづく感じます」

   番組キャスターの森本健成が「日本ではそこまで大きな変化は感じませんが」と聞くと、柴田は「円高が海外の価格上昇を緩和させている。しかし、いったん円安に振れると、モロに食料品価格は上昇に効いてくる」と警告する。

スーパー・商社が農業生産法人に出資

   この状況を受けて、商社や大手スーパーで大豆や飼料用トウモロコシを国内で生産する動きが出てきた。全国に560店舗を展開する大手スーパーは、3年前から北海道の農家と共同で農業生産法人を設立して大豆生産に乗り出している。担い手のいなくなった農地を活用して、現在の農場の広さは1000ヘクタール。大型機械の導入で低コスト生産を可能にした。収穫した大豆は自社で販売する豆腐などに使用していて、豆腐1丁39円で販売している。

   黒毛和牛の産地として知られる鹿児島県志布志市では、総合商社が地元の農業生産法人に出資して牛のエサとなる飼料用トウモロコシの生産に乗り出している。国際価格の高騰で需要が拡大し、現在は40戸の畜産農家に飼料用トウモロコシを提供している。

   こうした動きはまだ大きな潮流にはなっていないが、国際価格の高騰に対抗した動きとして注目される。柴田は新たな投資が食の輸入大国から輸出国へ転じる可能性も秘めていると言う。

「海外が厳しい状況になっているので、国内農業に投資のチャンスが広がってきた。多様な農業が現実的になってきたということだろう。 水田を遊ばせないで、フルに活用していくべきで、そうすれば大増産の可能性もあるのではないでしょうか。増産された部分は家畜のエサとか輸出に活路を開くこともできる」

   *NHKクローズアップ現代(2011年7月20日放送「迫る『食糧高騰』時代」

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