被災者に付きそう「伴走型支援」でも取り組めない「家族の事情」

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   東日本大震災を受け、県外に避難している被災者は約7万6000人いるそうだ。避難先の自治体はこの人たちをどう支援すべきか――。番組によれば、福岡県北九州市で瞠目すべき取り組みが行われているとのことである。

   71世帯166人の避難者を受け入れているという同市では、市とNPOが協力して「絆プロジェクト」なるものを立ち上げ、避難者サポートのための専門チームを結成。中心となるのはNPOで、2人1組となって、ふるさとを離れ、コミュニティから隔絶してしまった避難者たちが孤立しないように、なにかと相談に乗り、心に寄り添い、一緒に考え、付き添う。こうした支援のやり方を「伴走型支援」と言うそうである。

   たとえば、家具を買いたいがどこで買ったらいいかわからないという避難者あれば、スタッフが車で家具を格安で販売する店に連れていく。津波で息子を失い、精神的に落ち込んでいる女性の話を聞く。

福島に戻る妻、九州に残る夫―子ども離ればなれ

   だがそうした有効そうなエピソードの次に番組は、避難者の生き方、その選択という、自治体が「支援」しようのないエピソードを持って来て、時間をつぎこんでいた。

   3か月前に、福島県南相馬市から避難してきた一家。放射能の影響を懸念して、4人の子供を連れて、北九州にやってきた。だが妻は近く、下の2人の子供を連れ、夫と2人の子供を残して、南相馬に戻る決断をした。

   「兄弟がバラバラになって、かわいそうなことをするなと思う」と夫。しかし福島で生まれ育った妻は、再開が決まった特別養護老人ホームの職員であり、実家で暮らす100歳の祖母のことも気がかりだ。「仕事もあるし、地元がバラバラになくなっちゃう、廃れちゃうという心配もあって」と妻。

   「家族の決断を最大限、重んじる」。これがNPOが再確認した方針である。南相馬に戻る妻と子供ははたしてどんな生活を送るのか、十分な支援を受けられるのかと思うと、「伴走型支援」というものへの、どうにもペシミスティックな後味が放送後も残った。

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2011年8月2日放送「被災者を『絆』を支える」)
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