2024年 4月 26日 (金)

スティーブ・ジョブズ「情熱と自信と生い立ち」死んでも毀誉褒貶

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   亡くなったアップル創業者のスティーブ・ジョブズを悼み1週間たった今も献花する人が後を絶たないという。パソコンを一般家庭に普及させ、音楽の楽しみ方を変え、電話の常識を覆し天才といわれた男。「クローズアップ現代」はこの天才の「知られざる素顔に迫る」と取り上げたが、10年前にこの番組に出演し、開発への原動力を問われたジョブズが、「諦めない強い情熱」と答えたその『奥行き』を示す知られざる素顔は残念ながら感じられなかった。

「夢を実現できるか否かは途中で諦めるかどうか」

   「画期的な製品を生み出すことで社会を変える」というジョブズの精神はアップル社を立ち上げた時から一貫していた。巨大で高価なために、一部の専門家しか使えなかったコンピューターを小型化。1984年には世界で初めてマウスを使って自在に操作できるパソコンを開発した。01年には音楽の世界にも革命を起こした。CDが主流の音楽をネットからダウンロードして持ち運べるようにした。さらに07年には、従来の携帯電話の概念を変え、革命的な携帯電話「iPhone」を開発、手のひらサイズの端末で世界中の情報を手に入れる社会を実現させた。

   その背景には、誰もがパソコンを通じて情報にアクセスできる公平な社会を築きたいという思いがあったという。10年前に「クローズアップ現代」に出演したジョブズは、その思いを次のように語っていた。

「私はテクノロジーと人間を繋ぐことを目指しています。パソコンを知的活動だけでなく、もっと広く役立つようにしたい。夢を実現できるか否かは途中で諦めるかどうかにかかっています。必要なのは強い情熱です」

日本人元副社長が語る「人間の感性に対するリスペクト」

   10年の間にアップル本社の副社長を務めた2人の日本人にインタビューした。04年から2年間副社長を務め、ジョブズの製品開発の現場を間近で見てきた前刀禎明は次のようにいう。

「この製品はこんな機能でこんなこともできますよではなくて、あくまで人々が係わって嬉しいかどうか。重要なのはあくまで人なんですね。コストや営業の向上ではなく、人々の暮らしをどう変えたいかを逆算して製品を開発するよう求められた」

   ジョブズは製品開発以外のこだわりも厳しいものがあったという。目の当たりにしたのは8年間アップル本社にいて副社長も務めた福田尚久だ。

   「10年前に直営店を開く準備をしていた時、本社近くの倉庫のなかに実物大の店をつくった。何度も何度も作りかえ、テーブルの素材にどれを使うか一つ一つ吟味、試作品を作るのに何億円の使ったのではないか。その根底には絶対にお客様には分かるから完全を作らなければダメだという、人間の感性に対してのリスペクト(尊敬)なんですね」

「放漫で暴虐で強情な未熟で我慢ならない男」

   ただ、番組が取り上げたのは、情熱が実を結び、強い自信を得てからの話。恵まれない生立ち、資金もなく「諦めない強い情熱」と技術だけで起業に乗り出した青年期の「知られざる素顔」は分からない。新聞やウイドペキアなどによると、シリア人の政治学者と父親に結婚を反対されたアメリカ人の大学院生との間に生まれ、誕生以前から養子に出されることが決められていたという。彼が実母に再会するのは30歳を過ぎたからだ。

   エンジニアとして「アタリ」に採用され、初めて定職についたジョブズは、長髪で風呂にも入らず、不潔な姿で社内を歩き回って他の社員から嫌われた。その後、自らアップル社を創業したが、途中で追放されてしまう。ジョブズがアップルの社長にスカウトしたジョン・スカリー(元ペプシコーラ事業担当社長)に追放されたのだが、そのスカリーのこんなジョブズ評がある。

   「正に刺激的存在だ。放漫で、暴虐で、激しく、無い物ねだりの完全主義者だ。未成熟でか弱く、感じやすく、傷つきやすくもある。そして精力的で、構想力があり、カリスマ的でさらにおおむねは強情で、譲らず、まったく我慢のならない男だ」(ウイドペキア)

   社会を変えられるのはそういう力なのだろう。その素顔は、日本でいえば織田信長が当てはまりそうだ。

NHKクローズアップ現代(2011年10月12日放送「世界を変えた男 スティーブ・ジョブズの素顔」)

モンブラン

文   モンブラン
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