小沢一郎「妻」迂回で政治資金ロンダリング?家賃344万円の奇っ怪

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「(野田佳彦首相は=筆者注)十一月にはオバマ大統領生誕の地のハワイで開かれるAPECで、TPP(環太平洋経済協定)参加表明という巨大な貢物を大統領に献じたいようだ。(中略)普天間の方は難しいからTPPを手土産としたいのだろう。これら手土産の特徴は、どれも実のある議論が国内でなされておらず国民のコンセンサスさえ得ていないこと、そして手土産と引換えにいかなる厳しい注文もしていないことだ」

   これは「週刊新潮」藤原正彦の連載「管見妄言」の中の言葉である。これに続けて藤原は、日本の政治家が会議のたびに手土産を持参するのは他国にない日本だけの奇習だとし、「逸早く国際的に公約することで国内の反対を封じようとするなら卑劣な手法だ」と断じている。

   日本のあらゆる分野に大きな影響を及ぼしかねないTPPについて、情報の全面開示もせず、十分な審議を尽くさないまま、協定への参加を表明している野田首相のやり方は、ひと昔前なら売国奴といわれたに違いない。TPPへの参加の是非は、国民に十分な説明を果たしたあとにすべきであろう。

これも大震災のあおり…週刊誌・女性誌軒並み大幅部数減

   評伝「スティーブ・ジョブズ」(全2巻)が2巻合わせて発行部数が100万部を突破したと発行元の講談社が発表した。久しぶりに景気のいいニュースである。だが、東日本大震災は大きく週刊誌の部数にも影響を与えていた。今年上期のABC部数調査で新潮、「週刊文春」「週刊ポスト」が軒並み部数を落とし、「週刊現代」も大きく落ち込んだ。新潮は約38万部でマイナス7654部、文春は約48万部でマイナス5045部、ポストが約30万部でマイナス7581部、現代が約38万部でマイナス16457部である。「AERA」は約10万部、「週刊朝日」は約15万部、「サンデー毎日」は約8万部でわずかだがプラスになっている。「フライデー」は約18万部。

   女性誌も影響が大きく、「ViVi」がマイナス50729部で約25万部、「CanCam」がマイナス44982部で約15万部。テレビ離れもあって「ザテレビジョン」がマイナス84551部で約26万部、「月刊ザテレビジョン」がマイナス125455部と大きく減らして約53万部である。広告が減ったところへ部数減では、出版界に明日はあるのかと心配になる。

痛烈批判!週刊ポスト「週刊現代は年金役人の広報誌に成り下った」

   今週も大阪府知事選に出馬した橋下徹バッシング記事が目立つ。中でも先週に続き新潮が巻頭で「瞬発力とご都合主義の扇動者!カメレオン『橋下知事』変節の半生」と20人の証言を取るなど力を入れて取材はしているが、内容的にはイマイチ。高校の偏差値35で早稲田に受かったのは超人的な瞬発力があったからで、奥さんはお嬢様育ちだが、橋下の魅力にまいって押しかけ女房になったと、読み方によっては橋下ってやるじゃん、と思わせる。

   ポストは巻頭で、先週号の現代の記事「亡国の年金改悪『30年計画』を暴く」を真っ向から批判している。現代の記事は一見、厚労省OBが年金行政の暗部を暴露するかのような記事に思えるが、内容は「支給額を減らせ」「保険料を上げろ」と、国民に負担を押しつけ、年金役人を喜ばせることを是としているとしか読めない。

   話を聞いているOBが、年金大改悪のスタートとなった1985年の制度改革を手がけ、その後、天下りや渡りでしこたま年金を喰ってきた「ザ・年金官僚」ともいうべき坪野剛司元厚労省年金局数理課長で、年金制度を立て直すには「支給額を下げる、保険料率を引き上げる、支給開始年齢を上げる。この3つしかない」といい切っている。年金の掛け金を真面目にコツコツと数十年払い込んできた国民に三重苦を強いるということで、「騙し討ち」ではないかと批判する。「これでは『年金役人の広報誌』に成り下がったと断じざるを得ない」として、ポストはあくまでも国民の側に立って、年金を官僚から取り戻す姿勢を貫くと高らかに宣言している。

   もう1度先週号の現代を読んでみた。全体の論調は、これだけ年金制度が破綻しかけているのだから、全国民で痛みを分かち合う覚悟をもつべきだというものだが、いささか官僚側のいい分に寄り過ぎている印象は受ける。さて名指しされた現代はどうするのか。

吉本興業元社長「借金と赤字で芸人のギャラ遅延でも役員報酬4億円」

   その現代で吉本興業元社長・中邨秀雄が話している「このままでは吉本はおしまいですわ」がおもしろい。今年6月の株主総会に先立ち、株主に配られた吉本興業の「決算報告書」を見て中邨は愕然としたそうだ。長期短期併せて160億円近い借金があり39億円もの赤字が出ている。09年10月に吉本は株式公開買い付けが成立して上場を廃止した。そのために財務内容がブラックボックスになってしまったのである。中邨はその時点で、吉本はもうアカンと思ったという。

「大衆から株を取り上げ、あろうことか利害関係のあるテレビ局に株を振り分けた。おかげでテレビ局との緊張関係は喪失し、安易な番組づくりが優先され、僕に言わせればくだらないお笑い番組ばっかりになってしまった」

   経営者の周りをイエスマンばかりで固め、赤字経営なのに役員報酬は6人で4億円以上もらっている。ここへきて吉本は次々に劇場を閉鎖し、芸人に対するギャラの遅延も目立ってきているというのにである。中邨の次の言葉がいまの吉本の経営陣に届くだろうか。

「やっぱり、吉本は大きくなりすぎたんやな。テレビの株を買わして、出演枠を独占するような状態になって、それで傲慢になったからイカンのや」

   島田紳助問題は氷山の一角で、吉本は大本から崩れはじめたようだ。

小沢裁判で明らかにされた「陸山会のカネ」還流疑惑

   今週は現代が頑張っている。小沢一郎が月々妻・和子に渡している家賃が344万円だとスクープしている。東京・世田谷に広壮な邸宅を小沢は有している。この屋敷の正面左手前にある2階建ての建物は、以前から小沢の秘書や書生たちが寝泊まりする場所になってきた。不思議なことに、この物件は土地も建物も世田谷区内在住Aの持ち物になっており、小沢の妻・和子がAから借りて、和子がこれを小沢の政治団体「陸山会」に転貸ししているのだ。和子はこれとは別に私邸近くの2棟も所有していて、やはり小沢の政治団体に賃貸ししていて、両方合わせると毎月344万円にもなる。この事実は現在開かれている小沢の公判で、検察役を務める指定弁護士が冒頭陳述の中で明らかにしている。

   筆者のジャーナリスト長谷川学は、これらは「東京地検特捜部が押収した記録や捜査資料が根拠になっているのは、ほぼ間違いないだろう」と書いている。さらに長谷川は、毎年恒例の新年会が開かれ小沢家の迎賓館と呼ばれる2階建ての家屋も和子名義であるという。この奇っ怪な取り引きについて、北田朝雪税理士はこう推測している。

「事務所として使うのなら、陸山会が直接、第三者から借りれば済むこと。それなのに、なぜ妻が借りて、それを政治団体に又貸しするといった複雑な形にするのか。これでは、合法を装って妻に対し政治資金を流し込んでいる、もしくは妻の名義を使って資金を自分のもとに環流させている……そう勘繰られても仕方がない状況です」

   当然ながら政治資金を政治家が直接自分の懐に入れることは許されていない。だが、妻などの名義を使い、そこへ資金を迂回させれば、表面上は合法になってしまう。長谷川は「これではまるで、政治資金の『マネーロンダリング』だ」と断じる。

   細川内閣時代、改正政治資金規正法をつくったのは小沢である。法の裏を知り尽くした小沢ならではのやり口ではあるが、政治資金の虚偽記載について説明責任を果たさないのは、こうしたおかしな事実があるからなのだろう。

「暴排条例」知ったことか!弘道会と愛知県警のドラマより凄い癒着

   安藤隆春前警察庁長官が「弘道会の弱体化なくして山口組の弱体化はなく、山口組の弱体化なくして暴力団の弱体化はない」といわしめた弘道会の資金源と疑われる「風俗王」が、清原、山本譲二、吉幾三などの芸能人と親しいだけではなく、捜査員をカネで籠絡していたと告発する文春のノンフィクション・ライター藤吉雅春の力作は読みごたえがある。この人物、今年4月に弘道会若頭・竹内照明被告とともに詐欺容疑で逮捕された佐藤義徳被告(54)である。

   暴力団と警察の癒着は小説、ドラマなどでよく描かれるが、事実は小説より奇なり。藤吉によれば、佐藤は竹内若頭たちがいつでも利用できるような病院を確保しておくために、大病院の御曹司を有名芸能人に会わせるなどして手なずけ、おまけに愛知県蟹江署から感謝状を贈呈させる工作までした疑いがあるという。

   警察にマークされている佐藤がそんなことをできるのは、警察との強い癒着が背景にあるからだ。「『名古屋は治外法権』(風俗関係者)と言われるほどの、腐りきった土壌があった」とまで書いている。

   07年10月に佐藤の自宅に愛知県警の家宅捜査が入ったとき、捜査四課の警部の名前が記された850万円の借用書が発見された。株取引で800万円の損を出した警察署長は佐藤から2000万円を提供され、受け取るところを盗聴されたという話まである。佐藤は日ごろ周囲に「俺は警察にカネを払っているから道の真ん中を堂々と歩けるんだ」と豪語していたという。地元在住のジャーナリスト成田俊一はこう語っている。

「昔から、どこの警察でも一人や二人の汚れ役は必要とされていた。ヤクザから情報を取るためです。しかし、愛知県警は幹部クラスまでカネ、女、モノで買収されていた。県警と弘道会のつなぎ役として浮上していたのが、佐藤だったのです」

   さらに驚くのは、蟹江市の副署長が先の病院の御曹司に感謝状を出していたことで、愛知県庁の監査と県警が極秘に調査していて、佐藤と副署長との接点は春日井カントリークラブでのゴルフだと判明したが、県警の幹部クラスに春日井カントリークラブに行かないようにという注意が回っただけで、蟹江署の署長は処分なしで定年退職、副署長は科捜研へ異動になっただけだった。

   「県警は佐藤に浸食されていた『恥部』に蓋をしたのだ」と批判し、「警察の健全化なくして、暴力団の健全化はない」と結ぶ。

   大阪特捜部の腐敗が明るみに出たが、愛知県警の腐敗はもっとひどいようだ。地元の中日新聞はこうしたことをどう報道しているのか、調べてみたい。読み捨てにできない2本である。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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