安愚楽牧場被害7万人まったくメド立たない出資金回収

印刷

   黒毛和牛のオーナーを募り、高利の配当を謳って7万人を超える出資者を集めて倒産した栃木県・那須塩原の安愚楽牧場の被害者救済はどうなるのか。キャスターの国谷裕子は「牧場の倒産によって、出資者へ出資金が戻ってくるメドはまったくたっていません。今、全国12か所で被害対策弁護団が結成され、出資金の返済を求めていく構えです」と現状を伝えた。

退職金1000万円が消えた

   安愚楽牧場は出資者をどう集められたのか。関係者はこう話す。

「5年前から配当の利率を上げ、高利回りをアピールして会員の拡大をした。しかし、その当時から高利回りの配当をいつまでも維持できないということは分かっていた」

   破綻の13日前にも、48万円出資すれば半年後には52万円、利率8パーセントの高利回りだからと勧誘していた。まったくの詐欺である。定年退職したある出資者は「高利回りは確実だからと言われて退職金の1000万円を出資した。全額返済を要求しているが、いくら戻ってくるのか分からない」と肩を落とす。被害者弁護団の紀藤正樹弁護士は「破綻当日まで出資者に出資金の振り込みをさせていた。悪徳手口であることは間違いない」と断じる。

飼育委託農家も「酪農続けていけない」

   倒産による被害は消費者だけではない。畜産農家にも広がっている。安愚楽牧場から牛を預かって育ててきた300軒余りの畜産農家からは、もう廃業するしかないと悲鳴が上がる。北海道で140頭の牛を預かっていた酪農家・大原則行さんは、「牛の回収が始まっている。回収されれば収入の道はなくなり、酪農は続けていけない」と窮状を訴えた。酪農家を取材した岩田宗太郎記者(NHK宇都宮局)は「(安愚楽牧場が保有する)140万頭すべてを回収することは困難です。これだけ多数の牛の面倒をどう見るのかが問題になっています」と伝える。

   国谷は「この酪農家の現状をどう考えればいいのでしょう」と、ゲストのグルメ漫画「美味しんぼ」の作家・雁屋哲に問う。

「酪農家の多くが自分では牛を飼えない状況に追い込まれています。国内で消費される牛肉の半分は海外からのもので、しかも牛肉の値段は下がっています。また、欧米の畜産技術と比べて、日本が遅れているという面もあります。消費者の嗜好の問題もあり、牛肉なら霜降り(さし)が一番という根強い神話がある。赤身でも美味しい牛肉があるのに。日本の畜産をこれからどうするのか、みんなで考える必要があります」

   安愚楽牧場は黒毛和牛のシェア20%を占めると見られる。

NHKクローズアップ現代(2011年11月7日放送「黒毛和牛オーナー 7万人の悲鳴」)

文・ナオジン

  • コメント・口コミ
  • Facebook
  • twitter
コメント・口コミを投稿する
コメント・口コミを入力
ハンドルネーム
コメント・口コミ
   

※誹謗中傷や差別的発言、不愉快にさせるようなコメント・口コミは掲載しない場合があります。
コメント・口コミの掲載基準については、コメント・口コミに関する諸注意をご一読ください。

注目情報PR
追悼
シニアの健康ライフ
Slownetからのおすすめ記事(提携)

お知らせ

電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中