エジプト「イスラム原理主義台頭」で見通せなくなった民主選挙後
アラブの春は中東第一の大国であるエジプトのムバラク政権を崩壊追い込んだ。チュニジアやリビアでも長年君臨した独裁政権が崩壊、民主化を求める民衆の声はさらに広がろうとしている。中東情勢はこれからどうなっていくのか。
世界の原油供給にも大きな影響
国谷裕子キャスターは番組冒頭で、「アラブの春の行方によっては、原油など世界のエネルギー問題にも大きな影響を与えます。3夜連続のシリーズでお伝えします」と伝えた。第1回は中東全体にも大きな影響を与えかねないこれからのエジプトの国づくりの行方を探った。11月(2011年)から来年1月上旬までかけて行われている初の民主的な選挙では、「前の政権では汚職や腐敗が蔓延し、逆らえばひどい目にあった。自分たちの手で次のリーダーが選べるのは嬉しいことだ」という声が強い一方で、イスラム原理主義組織ムスリム同胞団系の「自由公正党」や厳格なイスラム主義の導入を唱える「光の党」など、西欧型民主主義とは相容れない勢力の台頭も目立ち始めた
イスラエルの対アラブ外交も変化
アラブ連盟のアムル・ムーサ前事務局長はエジプトの今後をこう見ている。
「いま、中東地域全体が変革の最中にある。エジプトの民主化は中東最大の敵とされるイスラエルにも大きな影響を及ぼすだろう。エジプトとイスラエルは平和条約などで中東諸国の中では唯一親密な関係。エジプトが民主化されれば、イスラエルも対中東諸国政策の変更を求められることになるだろう」
そして、日本も含めた欧米先進国に対しても、「新興国と先進国の格差をどう解消していくのか。中東諸国も考えるが、先進国はこの問題に積極的に取り組む必要がある」と語った。
国谷、「エジプトの民主化は他の中東諸国にどんな影響を与えるのでしょうか。そして、アラブの敵とされるイスラエルはアラブの春にどう対応していくのでしょうか」
いつものことながら、この番組は鋭い問題提起はするのだが、結局は「成り行きが注目されます」といった結論なしで終わる。
文・ナオジン