メディア法規制に流れる英国―行儀悪いニューズ紙ダシに報道圧迫

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   イギリスのニューズ・オブ・ザ・ワールド紙の事件をご存知だろうか。恒常的に盗聴などを行って、ネタを探していたことが判明して、大問題になった一件だ。

   番組によれば、英国では公共の利益に合致する場合に、ジャーナリズムの盗聴、盗撮といった行為が認められているそうだ。だが、ニューズは有名人や犯罪被害者など、誰かれかまわず盗聴。行方不明者のケータイの伝言メッセージを盗み聞きするといったことまで行っていた。そのうちには、伝言メッセージがたまり、あらたな録音ができなくなっていたせいか、古いメッセージを勝手に消去した疑いもあるという。

   行方不明の娘に何度も電話していた両親は、あるとき応答が変わり、あらたな録音ができることに気づいた。娘が生きていて、ケータイを操作したのかもしれないと、喜んだ。それはぬか喜びだった。なんとも罪な話である。

盗聴・隠し撮りで権力不正暴いてきた伝統

   同紙は結局、廃刊となったが、外国の下品な低級大衆紙が暴走してつぶれただけのことなら、クローズアップ現代もそう大騒ぎしなかったかもしれない。しかしなんと、この事件をきっかけに、英国では報道全般の規制を強化せんとする動きが強まっているのだ。

   英国のジャーナリズムは、盗聴や隠し撮りによって、権力による不正を暴いてきた伝統があるそうだ。報道の自由が奪われれば、メディアの権力監視機能が損なわれてしまうのではないか――。調査報道で鳴らしてきた英国営放送BBCなども心配しきりらしい。現地から出演したロンドンシティ大学教授もメディアへの法規制への懸念を表明する。

   日本でいえば、夕刊タブロイド紙や某ニュースサイトクラスのでたらめな行為によって、NHKまでとばっちりを食う状況である。たかが一大衆紙のせいで、メディア全般がいっしょくたに民衆スクラムを受け、報道の自由が危機にさらされてしまう――。遠いエゲレスの出来事で、視聴者の関心も高いとは思えなそうだが、クロ現的には恐ろしく、まるで看過できない現象であったようだ。

NHKクローズアップ現代(2011年12月13日放送「盗聴する英国メディア~揺れる報道の自由~」)

ボンド柳生

文   ボンド柳生
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