2024年 5月 3日 (金)

温もりある肉親を前に決断迫られる家族…「臓器提供」の苦悩

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後悔してうつ状態になったり、ボーっとしたり…

   厚労省の臓器提供検証会議のメンバーでノンフィクション作家の柳田邦男氏はこう話す。

「われわれの検証会議で検証したのは100例近くになるが、経過をみると、脳死判定が間違っていたなどの医学上のとんでもないミスはありませんでした。そいう意味では、脳死判定そのものの信頼性は高まったといっていい。
しかし、法改正後、本人の同意なくても家族が承諾すれば移植ができることに変わったことで、家族の心理的負担が大きくなりました。
提供したことによって、亡くなった家族がどこかで生きているという思いを持てるとか、全般的にいえばプラスの話が多いが、なかには後悔して悩んでウツ的な日々を送ることが多くなった人とか、ボーとして交通事故を起こしそうになったという人もいる。
突然死でもショックなのに、プラス脳死という経験もなければ知識もないことに家族がたじろぐのは当然です。はたして臓器を取り出して、旅立つ人に対しいいんだろうか。ここが、これからの移植で問われていくことだと思います」

   医療現場では最近、家族とのコミュニケーションを重視する動きが出始めている。聖マリアンナ医科大学病院では、患者や家族の情報を医師だけでなく、看護師、コーディネーター、検査技師など支援チームで共有して、オプション提示後に家族や患者に対しどう取り組むか模索を始めている。こうした動きについて、柳田は最後に次のような指摘をした。

「この取り組みは先駆的だと思う。今までは救急医療は医学的な救命だけに取り組み、家族は廊下で待たされていました。『命のリレー』は臓器を他者にリレーして命を救うだけのように言われますが、もっと大きなことであって、亡くなっていく人の生き様とか言葉とかの精神的な命が、残された家族の中に生き続けて初めて本当の『命のリレー』といえるのではないでしょうか。それが輪の中で行われる看取りの医療が救急現場で問われていると思います」

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2012年2月1日放送「家族が脳死になったとき」

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