胎児のダウン症新型検査「精度99%」に賛否―命の選別につながらないか

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   お腹の胎児がダウン症かどうか99%の確率でわかる新型の出生前診断が来月(2012年9月)から国内でも導入されることになった。これは朗報なのか、それとも新たな混乱のもとなのか。

9月から国立成育医療研究センターと昭和大で試験的導入

   出生前診断には妊婦の腹部から針で羊水を採取して調べる羊水検査や超音波検査、血清マーカー検査がある。新たな方法は妊婦の血液から胎児のDNAを調べるだけでダウン症などの染色体異常がわかるというもので、これまでの方法に比べ精度も99%と高い。また、妊娠10週目以降と早い時期に検査を受けられ、採血だけなので妊婦への負担も軽い。

家族の方の苦労

   9月から国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)と昭和大(東京都品川区)の2か所で試験的に導入される。35歳以上の妊婦が対象で、費用は約20万円(保険適用外)という。

   街の女性に聞くと、「高齢出産の人には目安になるのでは」といったものから「検査してどうするんでしょうか」といった不安の声があった。12月に出産予定の27歳の女性は「血清マーカーによる出生前診断を受けました。異常の可能性は限りなく低いと結果が出たので安心しました」と話す。

   産婦人科の医師は「いつでもどこでも受けられるというコンビニ的な部分は魅力。でも、それが突っ走り過ぎると、無秩序な状況が生まれてくる可能性もある」と、安易は検査や妊娠中絶増加につながらないかと懸念する。日本ダウン症協会は日本産婦人科学会あてに、「出生前診断が一般化したり、安易に行われたりすることに断固反対」との要望書を出した。

検査受けて産んでも産まなくても精神的なダメージ

   ゲスト出演した写真家で医療ジャーナリストの伊藤隼也氏は、今回の導入について「命の選別につながる問題なので、日本でこれを行うにはまだまだ議論が必要でしょう。ただ、その一方で母親の不安もあり、国がきちんとした指針を示すべきです」と語る。

   経営コンサルタントの田中雅子は、「検査を受けて、産んでも産まなくても精神的なダメージは大きい。心のケアがどうするか。しっかり対策を整える必要がある」と話す。

   ダウン症の娘(2)を持つ45歳の母親の声が紹介された。「羊水検査を受けるかどうか考えるように言われましたが、受けませんでした。ダウン症と診断された時は混乱しましたが、今は娘の成長が何よりの楽しみです」と言う。司会の笠井信輔が経験談を語った。

「ダウン症のお子さんのコンサートの司会をすることもありますが、ダウン症の子どもさんは本当に可愛いし、絵とか音楽の才能が豊か。家族も苦労されているようですが、この子が生まれてよかったと、みなさんおっしゃっています」

   この問題、単なる医療の問題ではない。もっと広範な議論が必要だろう。

文   一ツ石 | 似顔絵 池田マコト
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