コンビナート次々爆発の恐怖!施設ボロボロ、熟練技術者リタイヤ、補修費用なし…

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   石油化学プラントや石油精製プラントが林立するコンビナートで大規模な事故が相次いでいる。発生件数はこの10年で10倍にもなる。原因は施設の老朽化とベテラン技術者の不足だ。企業はこの2つの深刻な課題を承知しているが、対応しきれないジレンマに陥っている。

配管内部にこぶし大の錆―ガス漏れて大火災

   昨年7月(2012年)、千葉のコンビナートで起きた火災は7時間燃え続け、2週間の操業停止に追い込まれた。火が出たのは原油を精製する蒸留塔の配管設備で、配管は作業員のヤケド防止のためカバーがかけられ、外から内部の様子はわからなかった。内部は腐食が進行して錆がこぶし大に広がっていた。そこから漏れたガスに静電気から引火し大火災になったのだ。

   コンビナートは高圧ガス保安法など4つの法律で定期検査が義務付けられている。検査の対象は爆発や火災の危険のある箇所で、蒸留塔も含まれていて定期検査は行われていた。しかし、配管内部などは企業の自主的な管理に任されていて、そこで事故が起きた。

   コンビナート設備の老朽化に企業はどのような対策をおこなっているのだろうか。実は十分な費用をかけていない実態がある。配管の腐食は何度も目にしていることだと大手企業の技術者は言う。「配管すべてを取り替えなければいけないという話で予算を立てると、当然、予算は膨らみます。すると、全部取り替える必要があるかという話になり、最終的には優先順位をつけて絞り込みを行うということが毎年繰り返されています」

経験少ない技術者が緊急停止解除―爆風で周辺住宅1000軒に被害

   老朽化だけでなく、現場技術者の経験、知識不足で事故が起きるケースも出てきた。昨年4月、山口県のコンビナートで起きたタイヤ原料の製造プラント爆発では、1人が死亡し爆風で付近の住宅1000件が被害を受けた。

   事故のきっかけは22年間使われてきた電磁弁の故障だった。温度調節に使う蒸気の供給が止まり、全プラントの操業がストップした。ところが、この事態を経験したことのない技術者が誤って緊急停止を解除してしまったため、温度調節ができなくなって爆発した。

   こうした技術力の低下はどこのコンビナートでも深刻な課題になっている。ベテラン技術者たちが次々リタイヤする一方で、業績低迷から採用人員を減らしているため、ベテラン技術者の知識や経験が思うように継承されず、失われてしまっているのだという。

現場がトラブル情報上げても「コストかかる対策後回し」

   キャスターの国谷裕子「とりわけ気になったのは、配管の腐食を何度も目にしながら十分な予算が確保できないということでした。安全に対する優先度が低下しているとしたら本当に怖いですよね」

   コンビナート事故調査委員会の委員を務めてきた横浜国立大の三宅淳巳教授はこう解説する。「現場の技術者はトラブルなどの情報を上司に上げているはずですが、コストとかプラントを止めなければといったことでネガティブに考え、後回しになってしまっているのです。そこらが非常に懸念されることです。

   それに、どこの会社でも問題になっているのが、社内の風通しとかコミュニケーションが円滑にいっているかどうか。情報が上がってきたときに、誰がどういうタイミングで最終判断を下すかをちゃんと決めているかどうかも大きなポイントです」

   莫大な費用がかかる老朽化対策として、設備の更新にかかる固定資産税を半額にする四日市市の企業支援、ベテラン技術者のノウハウをデータ化して安全確保ができるシステムを構築している化学メーカーの日本ゼオンのケースが紹介されたが、ほんの一例に過ぎない。大半のコンビナートは、老朽化と技術力低下に苦しんでいるのが現状のようだ。

 

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2013年1月16日放送「コンビナート クライシス」)
文   モンブラン
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