2024年 4月 27日 (土)

いまや安倍応援団?犬猿の仲・朝日新聞がベッタリになった「ある事件」

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アベノミクス持ち上げ消費増税にも肩入れ

   今週の注目記事は週刊ポストの「安倍晋三と朝日新聞の『不適切な蜜月』」である。 週刊ポストによれば、朝日新聞は安倍首相にベッタリだというのである。これまで朝日新聞は安倍政権には批判的だったはずだが、それが宗旨替えをしたというのだ。引用してみよう。

<ここにきてその朝日の論調が一変した。これを読んでいただきたい。
   安倍首相が、「強い日本。それを創るのは、他の誰でもありません。私たち自身です」と国民に呼びかけた施政方針演説に対して、朝日は社説で、「施政方針演説 さあ仕事をしよう」(今年3月1日付)とエールを送り、 4月5日には、「政権100日 難所はこれからだ」という社説でこう持ち上げているのだ。
   〈安倍首相が「経済再生でロケットスタートを」と宣言した通り、大規模な財政出動と金融緩和の「アベノミクス」を打ち出し、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に道を開くなど、次々と手を繰り出した。首相の持論である「戦後レジームからの脱却」をひとまず封印し、最大の懸案だった経済再生に集中的に取り組んできた姿勢は評価できる〉>

   べた褒めといっていいと週刊ポストは書く。これほど安倍首相におべんちゃらをいうのは、ある事件が絡んでいるというのである。<この事件は、朝日新聞が05年1月に、「NHK『慰安婦』番組改変、中川昭・安倍氏『内容偏り』前日、幹部呼び出し指摘」との見出しで報じた。NHKの従軍慰安婦問題番組の放映前、安倍氏が、「公平ではない」として番組内容を変えるように政治圧力をかけたという報道だ>(週刊ポスト)

   当時、安倍は自民党幹事長代理で、それ以来、朝日新聞と安倍の仲は犬猿になるのだが、その安倍が首相になってしまったから、朝日はあわてた。そこでこんなことを企んだと週刊ポストで朝日の政治部記者が話している。

<追い込まれた朝日は『相打ち』に持ち込もうとした。
   「こっちも、『だったら政権を潰してやろう』という気になる。当時、安倍さんは公務員改革で官僚の反発を浴びていたから、政権批判の材料なら官僚からどんどんリークが来る。官僚と仲良くなって、追い落としをかけたら政権が本当に潰れてしまった」>

   朝日の変化でもう一つ見落とせないのは、かつてリクルート事件報道で竹下内閣を退陣に追い込むなど「反権力の調査報道」に定評があった社会部の弱体化だという。この数年、政治家の構造汚職など大型スキャンダル報道が紙面から消え、社会部のベテラン記者はこう嘆いているという。

<「政治家とトラブルを起こすばかりの社会部はいらないと上層部から批判され、一昨年10月に調査報道専門の特別報道部を独立させたのが原因です。結局、社会部の士気は下がり、せっかく作った特別報道部は原発事故検証の連載『プロメテウスの罠』にかかりきり。政治スキャンダルを発掘する力がなくなった」>

   また、安倍首相のメディア攻勢は朝日だけに限ったことではなく、「首相就任以来、朝日、読売、毎日、日経、産経のトップと会談し、テレビも民放キー局の会長や社長を総なめにしている」(週刊ポスト)というのである。メディアの経営者が政権のトップと会うというのは、週刊ポストならずとも、おかしいと思う。そうした権力への擦り寄りが部数に響いてくると、都内の朝日販売店の経営者がこう話している。

<「最近、購読者から『記事がつまらなくなった』『以前は紙面がとんがっていたが、今は戦っている感じがしない』といった声が非常に増えている。昔からずっと読んでいる人ほど、そう感じるようです。私から見ても、一体、右を向いているのか左を見ているのかわからないお茶を濁すような書き方ばかりで、朝日らしさが減った」>

   最近は、安倍首相が朝日をよく読んでいるそうで、「あの記事はよかった」という電話がかかることがあるというのだ。権力者から喜ばれる新聞など、大方の国民は読みたくない。私は朝日新聞の読者だが、たしかにいまの朝日は消費税増税にも肩入れし、アベノミクスにも批判的ではない。消費税を後押ししたのは、第一次安倍政権で安倍を批判する材料をもらった官僚への『返礼』なのか。

   かつて読売新聞は社会部でもってるといわれた。だが、渡辺恒雄氏ら政治部がのさばりだし、社会面に活気がなくなり、社会部のエースといわれた本田靖春さんは読売を離れてしまう。朝日新聞も同じ道をたどるのか。いろいろな意味で朝日の存在意義が問われている。

地金が出た猪瀬都知事!五輪ダメになっただけじゃない…問われている「資質と品性」

「イスラム諸国が共有しているのはアラー(神)だけで、お互いにけんかをしている。そして階級がある」
「選手にとって一番いい場所はどこか。インフラが整っておらず、洗練された施設もない2つの国と比べて下さい」

   猪瀬直樹都知事が米『ニューヨーク・タイムズ』紙のインタビューで、2020年の五輪招致に立候補を表明しているイスタンブール(トルコ)やマドリード(スペイン)を中傷する、先のような発言をした。

   東京五輪招致の責任者としての資格を疑わせる非常識な発言だと朝日新聞は社説で書いているが、私は首長としての能力の欠如を露呈した大失態だと思う。石原慎太郎前都知事は怒り心頭に発しているはずだ。これで100%東京は候補から消えた。

   私は都民だが、五輪など招致しなくていいと思っている。だから来ないことには大賛成だが、以前から猪瀬の都知事としての資質には危うさを感じていたから、早くもやってくれたかと思った。

   この御仁、『週刊朝日』で佐野眞一が書いた「ハシシタ 奴の本性」が、橋下徹大阪市長からの猛抗議で連載が中止になったとき、ツイッターで佐野の過去の盗用を持ちだし、「このときから品性に疑問をもち付き合いをやめました」と呟いた。他人のことをいえたものではない。自分の品性にも疑問をもたれていることに気づかないらしい。

   ノンフィクション・ライターの本田靖春さんは『我、拗ね者として生涯を閉ず』で猪瀬についてこう書いている。<本田は猪瀬の師匠だ、と一部でいわれたことがあったが、その事実はない。だいたい、生き方のまるで違う彼が、私に学ぶことなんてありはしないではないか。

   猪瀬氏は西麻布に事務所ビルを所有し、郊外に持家を構えている。前者に関しては、その取得の経緯を『噂の真相』で書かれたが、後者の存在はしばらくの間、伏せられていた。そのころ彼は、拙宅に電話をよこし、応対に出たかみさんにそのことを告げた後、こう言ったという。

『まだ、誰にも教えてないんだ。編集者にも知らせてやってないからね』

   隠す必要はないではないか、と私は思うのだが、彼にしてみれば、妬みまじりにとやかく言われるのを嫌ったのであろう。

   猪瀬氏は勉強家だし、仕事熱心だし、世渡りも上手だと思うのだが、なぜか人に好かれない。それは、単に、威張り過ぎるからといったような表面的理由だけによるものではなさそうである>

   IOCが都招致委員会の責任を不問にしても、都民の多くはこんな人物に1票を投じたことを恥じているはずである。

頑張れ写真誌!「フライデー」に休刊説―近ごろ張り込みネタに勢いないゾ

   私が案じていたとおり、日本の電子書籍はいっこうに盛り上がらない。本の数は増えてきてはいるが、出版社にとってのビジネスモデルなど遠い遠い夢である。だが、アメリカではデジタル新聞が健闘しているようだ。

   <今年3月末(2013年)までの半年間の主要新聞の平均発行部数では、有力紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が昨年の同時期と比べて18%増の186万部となり、昨年の3位から2位に浮上した>(asahi.com5月1日付より)そうである。内訳は紙媒体が73万部だが、デジタル版が113万部と好調で、主要紙の中では、ただ1社、デジタルが紙を上回ったという。ウォールストリート・ジャーナルは約12%増の237万部で、首位を守ったとある。

   見出しに「デジタル版、紙の部数追い抜く NYタイムズの話です」とあるのは、自分のところのデジタル版がうまくいっていないので気恥ずかしいからだろう。このままいくと、日本の新聞、出版はデジタル化で疲弊していかざるをえないと思うのだが、うまい打開策はないようである。

   先に講談社が女性誌2誌を休刊にしたが、このところ講談社の人間に会うと、『フライデー』休刊が近いうちにあるのではないかとしきりに言っている。たしかに編集長が代わり、新聞広告はお洒落になったが、内容は褒めたものではない。原発などの硬派の記事はまだいいのだが、売り物の張り込みネタに勢いがない。5月3日号の「堤義明 最後の女と2ショット」にはのけぞった。やって悪くはないが、売り物にはなるまい。

   光文社の『フラッシュ』も部数が低迷して久しい。実売が30%台もあると聞くから、往時600万部あったといわれる写真誌がすべて消えるのもそう遠くないかもしれない。何とか頑張ってほしいものだが。

ユニクロ「世界統一賃金」批判―労働者苦しめた初期資本主義と同じ

   今週は『週刊現代』と『週刊ポスト』が合併号。両誌で「ユニクロは『ブラック企業』か『グローバルカンパニー』か」(週刊ポスト)、「大論争『ユニクロはブラック企業なのか』私はこう考える」(週刊現代)とやっている。

   ユニクロは入社して3年以内に辞めていく社員が半数にも上るため、ブラック企業ではないかという批判が噴出しているが、柳井正社長は朝日新聞などで否定している。だが、その中で社員の賃金を世界で統一すると発言して、また波紋を広げている。週刊ポストはまず、世界統一賃金の仕組みとはどんなものか整理してくれている。

<現在、ユニクロの「グローバル総合職」社員は世界に約5000人いる。(中略)執行役員や上級幹部ら合わせて51人の上位7段階はすでに世界で「完全同一賃金」になっている。完全同一賃金とは、例えば、日本円で年収5000万円のグレードに属する海外採用社員は、通貨や物価が違っても、その額に相当する年収を受け取ることができるというものだ。
   それをさらに下位のグレードにも広げていこうというのが、今回のユニクロの構想である」
   信州大学経済学部真壁昭夫教授はユニクロ戦略を、こう分析して評価している。
   「単純労働に従事する若い労働力ならば集めるのはそう難しくない。しかし、1つの店舗をマネジメントする能力を持った優秀な人材は希少で、高賃金などのインセンティブがないと集めることができない。
   ユニクロの試みが成功すれば、現地国の有能な人材の発掘や、すでにいる人材の底上げ効果にもつながる。組織内の競争も激化し、生産性が上がって、企業収益にも貢献するはずです」>

   週刊ポストは柳井戦略に一定の評価をしながらも、こう結んでいる。<終身雇用システムによって高度経済成長を成し遂げ、「総中流化」を果たした日本の姿は、世界に「奇跡」と認められた。人の何倍も稼がなくても、働くことに喜びを感じ、多くの日本人が自分を「幸福だ」と感じていたはずだ。

   柳井氏も「日本人のDNAが武器になる」と感じているのなら、日本企業だからこそ生み出すことができる、新しい雇用の形もあるのではないか>

   週刊現代は多くの識者に語らせているが、その多くは批判的である。その一つ京都大学名誉教授の竹内洋氏の批判を紹介しよう。

<「残念ながら、柳井さんの経営理念には、歴史に対する不勉強、文化や社会に対する無理解を感じざるを得ません。職位が下の社員に成果求め、それがかなわないなら低賃金に甘んじろというやり方は、労働者を苦しめた初期の資本主義時代の考え方ですよ。(中略) 企業が儲かるのは大切なことです。しかし、そのために『Grow or Die』が必要ですか? 多くの精神疾患者を出し、まるで産業廃棄物を捨てるようにヒトを吐き出していくやり方が、グローバル企業だから仕方がないと、許されることでしょうか。企業は公器。品格のある成長を、ユニクロには求めたいと思います」>

   週刊現代は結びでこう切り捨てている。<自分だけが生き残れば、あとは死んでも構わない。それがユニクロの経営哲学なのであれば、ブラック企業と呼ばれても仕方がないだろう>

   私は先にも書いたが、大学を出たばかりの新入社員が試験に合格すれば店長に昇格する「制度」には無理がある。世界統一賃金もいいだろうが、「人を育てる」という意識がない企業には人材は育たない。5年、10年後のユニクロに不安を覚える。

顔ぶれがらり変わった「長者番付」1位ミクシィ、2位テンプスタッフ、3位比較.com

   私が編集者現役のときは、この時期になると「全国長者番付」をやらされたものである。新聞は5月1日に報道するが、週刊誌は名簿をだいぶ前に入手して取材しなければならない。そのためには、どれだけ親しい新聞記者が手持ちにいるかが勝負になる。先輩にハッパをかけられながらブンヤのところを走り回ったものである。懐かしい思い出だ。

   週刊現代の「全国長者番付トップ100人の実名掲載」の後半に1951年からの長者番付15位までが載っている。1951年から1970年までのトップは「松下電器」の松下幸之助である。2位にも「三洋電機」の井植歳男、「大正製薬」の上原正吉がいる。

   1981年から1990年のバブル期になると、1位は上原だが、2位に不動産を売却して利益を出した秋山光男、株の仕手戦で勇名を馳せた是川銀蔵、不動産の貸し付け業者の岩井久雄、10位にも不動産貸付業者の玉野喜一郎が顔を出している。2005年から2012年には上から「任天堂」の山内溥、「ユニクロ」の柳井正、「ソフトバンク」の孫正義などがいるが、いまは週刊現代調べによるとガラッと変わっているのである。

   1位には笠原健治(37歳)。「ミクシィ」社長で資産は1347億3200万円。2位は人材派遣の「テンプスタッフ」会長兼社長の篠原欣子(78歳)で751億8800万円。3位は「比較.com」社長の渡邉哲男(41歳)で715億8800万円。4位は「グリー」社長の田中良和で658億3800万円。5位は「アルペン」社長の水野泰三(64歳)で625億5400万円となっている。

   「アルペン」は愛知県のスポーツ用品販売会社だが、それ以外は派遣とITである。時代がそのまま収入にも表れているということか。「アルペン」の水野氏はもともとプロスキーヤー志望だったが夢をあきらめ、父親から援助を受けた300万円を元手に、名古屋市内に25坪のスポーツショップを開いたのが始まりだったそうである。金持ちになる秘訣をこう語る。

<「開業以来、一度も赤字なしでここまでやってきました。これから少子高齢化でパイは減っていきますが、崖っぷちに立つとパワーが出るものですよ。諦めないこと。これが大切です」>

   諦めなければこれだけの資産がつくれるものなのか。貧乏人にはわからないが、その裏には他人にいえない苦労もあったのだろう。ひと旗揚げたい人には必読かも知れない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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