「リアル脱出ゲーム」その手があったか!話題になってから慌てて2匹目のドジョウ探しのテレビ現場

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   ここ数年の中で、テレビ業界の多くの人が「やられた~」と思ったものがある。リアル脱出ゲームだ。もともとは京都のフリーペーパーを発行している若者たちのアイデアから始まったもので、なにか読者と直接繋がれるイベントができないだろうかと小規模に考えていたのに、おそらく考案者も想像すらしなかったほど、大規模にビッグビジネスへと発展していった。

用意するのはアイデア、安い賃貸マンションや建物、大道具・小道具だけ

   球場を借りて行い、そのうちアメリカや中国など海外でも開催され、同じようなテレビ番組まで生まれ、さまざまな媒体とのコラボも次々と誕生し、リアル脱出ゲーム施設がいくつもできた。参加者人数は100万人規模へとふくれあがった。筆者も取材で実際にゲームを体感したことがあるが、ゲームに参加し謎を解いていく面白さ、ビッグマネーが生まれていく仕組みに興奮した。

   用意するのは、アイデアと賃料の安いマンションや建物、大道具・小道具の美術品だけ。古い家電を電源につなぐ必要もなく、小道具も使い回しできそうだ。人件費もかからない。参加者を監視するスタッフはただ座っているだけ。ゲームでとっちらかった部屋を元通りにするだけだから、大きなゴミも出ることはない。その空間で行われるゲーム時間はせいぜい2時間程度である。1日数回開催すれば、参加費を払った若者たちが100人ほど出入りする。皮算用しただけで、すぐに4ケタの金額が入りこむことになり、聞くと実際そんな感じだった。

人もセットもあるのに思いつけなかったテレビ業界アイデア枯渇

   なぜこんなビジネスモデルを思いつかなかったのかと悔しくなる。問題や仕組みを考える作家がいて、演出をしていくディレクターがいて、美術セットを調達する美術部がいて、宣伝を打つ人がそろっているテレビ業界なら、すぐに実現できそうなのに誰もやらなかった。話題になってから後追いした。

   そんな「この手があったか」と思えるビジネスモデルは、まだまだ他にもある。会議でよく出るのは葬儀プロデュース業だ。葬儀中に流す映像制作や葬儀の演出を短時間で作る専門会社は絶対に儲かるというわけだ。実際、ディレクターから葬儀会社に転職した人もいる。でも、なぜだかみんなやっぱりこのテレビ業界に戻ってくる。アイデアを思いつき、成功の尻尾を掴んだように見えても、戻ってくる。

   もしかしたら、この仕事にしか向いていないのかしれない。冗談に思えるほど時に勘違いをしてしまうけれど、結局は大成功しきれない。そんな悲しいジレンマがどこかにあるような気がしてならない。だから、ヤラレタ!なんて言っては似たような企画を作ったりする。2匹目を追ってばかりで、新しいドジョウをすくうのは予算がないからなかなかできないなどと、言いわけをしながらね。

モジョっこ

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