「再生医療」野放し!死亡事故や失明…研究段階の治療を経験ない医師が『実験』

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   最近、「クローズアップ現代」を見ていて居眠りしそうになることが多かったが、今回の「再生医療」についての放送はオドロきで目を見張ることしきりだった。

   「夢の再生医療」なるもの、筆者は寡聞にしてまだまだ研究段階であるという程度の知識しかなかったが、なんと日本はすでに、おそらく世界一の体性幹細胞による再生医療ヘブンで、再生医療を求める患者のヘイブンになっているというのである。

患者の目つぶした医師「画期的な治療ちょっと体験」「後先のことは考えず」

   体性幹細胞は、理論的には組織や臓器を再生し多くの病気に効くことが期待されているが、まだ研究段階で、人間への効果も安全性も定かではない。しかし、そんな治療が健康保険不適用の自由診療であれば、医師の裁量で自由に行える。再生治療を行うクリニックは国内に100か所以上あり、少なくとも1万人以上が治療を受けたという。こうした実態には、大和雅之・日本再生医療学会理事も「われわれが予想していたよりはるかに規模が大きく、大変驚いた」と話す。

   世界の他の先進国では厳しい再生医療規制があるため、日本のクリニックで再生医療を受けるツアーが韓国で組まれたり、再生医療ビジネスでひと旗揚げようと目論む外国人もいたりして、再生医療ビジネスは活気づいているようである。

   その一方で、治療トラブル、副作用が多発しており、治療直後に患者が死亡したケースもある。番組が取材した医師からは唖然とするような話が聞かれた。この医師は再生医療の知識がほとんどないのに、「画期的な治療を自らちょっと体験したい」「糖尿病にも効く(という)し、リウマチにも薄毛にも効くし、近視にも効くだろう」と思い、「後先のことはたいして考えず」に、視力回復を求める患者の目の周辺10か所に幹細胞を注射したという。その直後に網膜が剥離し、患者は失明した。本当に医師免許を持っているのか疑いたくなるこの人物は「慎重論からすると、ちょっと暴走的な治療だったかもしれない」などとこともこともなげに言う。どうやら日本では命がけの人体実験があちこちで勝手に行われているようである。

「細胞そのものはかなり安全と考えているが、適切な投与法、投与量などの条件は探っている段階。動物実験でも幹細胞が肺の毛細血管が詰まり死亡したケースがある」(大和理事)

ゆるい厚労省の規制法―制限は人員や設備だけ

   それにしても不思議なのは、日本が世界でも突出した再生医療野放し大国になっていることだろう。これについては世界的な批判が高まっていて、厚生労働省は規制に乗り出した。しかし、現に治療を受けている患者、受けたい患者もいる。ALSという難病で話すこともできない患者は、「安全性や有効性がわからなくても、リスクを含めての十分な説明を受けられ、そして可能性が少しでもあるならば治療を受けたい」とパソコンで綴った。

   厚労省は再生医療を受けたい人の気持ちを無下にはできず、どの程度の規制をかければいいのか困った挙げ句、とりえず治療施設の「人員」「設備」に条件をつけるという緩い規制法案をつくることにしたという。そのウラには、再生医療ビジネスや医療ツーリズムを盛り立てて、成長政策につなげたい狙いも透けて見えてきそうではある。

   大和理事は「体性幹細胞治療は一歩一歩慎重に進めていかなければならない。もし『事故』が起きれば、再生医療全体が大きなダメージを受け、停滞してしまう」といったことを繰り返していたが、番組を見る限り、「事故」は世の中に広く知られてないだけで、すでに起きているように思えなくもない。

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2013年6月25日放送「追跡 再生医療トラブル ~体性幹細胞治療の闇~」)

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