2018年 7月 23日 (月)

<少年H>
河童少年が見つめていた「戦争に染まらない生き方」の潔さ…健気でしたたかな庶民

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   作家・妹尾河童のベストセラー自伝小説を映画化した。昭和初期の神戸下町を舞台に、洋服の仕立て屋を営む家に生まれたH(エイチ)こと妹尾肇が、戦争の時代に、愛情あふれる家族とともに懸命に成長していく姿を描く。主人公Hの父親を水谷豊が演じ、脚本は「ALWAYS 三丁目の夕日64」の古沢良太、監督は「鉄道員」の降旗康男が担当した。

「誰かを責めて、自分もそういう嫌な奴になっちゃだめだ」

(C)2013「少年H」製作委員会
(C)2013「少年H」製作委員会

   子供たちに戦争はどう映ったのか。一家がクリスチャンだったHの店には、外国人の客も多かった。もらった絵葉書に描かれたニューヨークの街並みを見て、「アメリカはすごい国なんだ」とHはあこがれた。ところが戦争が始まり、大好きなうどん屋の兄ちゃんも政治犯として捕まってしまうし、女形の役者だったオトコ姉ちゃんにも召集令状が届く。思想が統制され、Hたち家族は「非国民」といわれのない差別を受ける。

   学校でいじめに遭ったHは、自分をスパイ扱いした友達に仕返しに行こうとするのだが、そんなHを父親は「誰かを責めて、自分もそういう嫌な奴になっちゃだめだ」と諭す。現代にも通じる大切な何かを教えられたようで胸を打つ。

   うどん屋の兄ちゃんの小栗旬、オトコ姉ちゃんの早乙女太一、Hの心優しい父親を演じた水谷豊などみな素晴らしいのが、無難すぎるキャスティングのためか、どこかのドラマで演じたことのあるキャラクターとダブって見えてしまうのが残念である。

   中学校に進学したHは学校の軍事教練に悩む。妹は一人疎開し、父親は消防署につとめだし、そして神戸は大空襲にみまわれる。悲しいことが続くのだが、どこか綺麗すぎる。だから、悲壮感に欠ける部分が出てきてしまうのも気になる。いや、あえて悲壮に描かなかったのだろう。

   戦争が終わり、焼け野原になった神戸の街並みがスクリーンいっぱいに広がる。「いったい、なんのための戦争だったんだ」と再び考えさせられる。「戦争の夏」に見てほしい映画である。

PEKO

おススメ度☆☆☆

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