怖くて乗れないJR北海道「安全後回し」悪いところが多すぎて手が回らない

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   世界一正確で安全安心なはずの日本の鉄道だが、JR北海道の安全はなぜ失われたのか。どうやら「経営基盤の脆弱さ」、カネがなくて貧すれば鈍する的な構造が背景にあるようだ。

万年赤字体質脱却掲げたスピード化、サービス向上が裏目

   26年前の国鉄民営化以後、JR北海道は万年赤字体質から脱却するため、スピードアップなどによるサービス向上で客を増やす方針を掲げた。「どうして高速化、増便なんてするのか。何に勝ちたいのか(安全のほうが大事)」(JR北海道社員)との声もあるが、「高速化しなければ都市間バスに負ける。客は遅い交通に乗らない」(北海商科大学・佐藤馨一教授)という事情もある。

   JR北海道は設備投資を行い、札幌・釧路、札幌・函館間などの路線で大幅なスピードアップ、サービス向上を目指した。しかし、そうした競争の原資は、言わば他人頼みだった。国鉄民営化の際に設立された経営安定基金からの運用益が大きかった。この基金はもともと厳しい経営が予想されたJR北海道など地方のJRを支援する目的でつくられたものだ。一時は年間500億円も懐に入ってきたが、その後は運用が低迷し、鉄道利用者も伸び悩んだ。

   高速化の一方で古いエンジンや車両の更新は進まず、「部品の取り替えが削られていった」(社員)。レールなどの保線管理は(スキルを持った)人手不足で、「悪いところが多すぎて手が回らない」「修繕が追いつかない自転車操業だ」(保線現場で働いていた社員)

経営安定基金は破綻…生き残りは国の財政的支援頼み

   自由化と競争のなかでも「安全」だけは絶対に削ってはいけないというのはたやすい。しかし、現実には背に腹はかえられないとばかりに安全マージンを削っていき、まだまだ安全だ、これでも安全だというチキンゲームにはまり込んでいった。

   結局のところ、JR北海道が陥っている悪循環を断つには、国の財政的支援が欠かせないというのが、「クローズアップ現代」の結びだった。「北海道も本州と同じくらいと基金が付けられたが、その設計が破綻したんです。当初に見込んでいたくらい、JR北海道の社員がみな『ウチの会社は貧乏会社だ』と思ってる状況から脱するぐらいは支援が必要だ」(曽根悟・工学院大学特任教授)

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2013年10月1日放送「失われた安全~JR北海道で何が~」)

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