2024年 4月 27日 (土)

「都知事選」戦いすんで日は暮れて…残る関心は「細川+宇都宮」で反原発票どのくらい出るか

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   都知事選は中盤に差しかかったところだが、週刊誌を見る限り雌雄は決したようである。1月30日(2014年)発売で都知事選を直接扱ったものは『週刊新潮』の「勝者は一目瞭然の『世論調査』生データ公開」1本だけ。『週刊文春』は小泉元総理を扱ってはいるものの、「小泉純一郎は生き別れの三男と和解していた!」という都知事選とは関係ない脇道のドラマである。

   週刊新潮で政治部デスクが、1月23日と24日に某通信社・新聞社が行った調査についてこう語っている。<「通信社は、舛添さん37%、細川さん16%、宇都宮さん14%。新聞社は舛添さんが27%、細川さん12%、宇都宮さん7%の順でした。つまり、細川さんの支持率はほとんど伸びていません。それどころか、宇都宮さんに抜かれる可能性も出てきています」>

   けさ(1月30日)、中野駅北口で細川候補の応援団、瀬戸内寂聴さんと細川夫人・佳代子さんが街頭演説をやっていたので覗いてみた。狭いロータリーなので聴衆が入りきれるかと心配していたが、拍子抜けするほどの人数しか集まっていなかった。小泉氏と連れ立ってやる細川氏の演説会はどこも溢れんばかりの人が集まっているようだが、聴衆の目当ては細川ではなく小泉なのだ。

   駅で手渡されたパンフレットを見て驚いた。「W元首相の挑戦」と題されたもので、「東京が日本を変える会」が作ったものである。裏に応援している瀬戸内さん、澤地久枝さん、菅原文太さんらの名前が載っているが、表の細川、小泉が並んだ写真の細川氏のほうは墨で塗られた如くで顔はわからず、小泉氏だけがくっきりと写っているのである。候補者名も書いてないから、この選挙のことを知らない人間が見たら、小泉氏が候補者だと思うに違いない。

人気高いのは「小泉劇場」!存在感まるでない優柔不断の殿さま

   このパンフレットがこの選挙を象徴している。小泉氏自らが「脱原発」を掲げて立候補すれば勝てたかもしれない。だが、自分が言ったことの責任をとらず、積極的ではなかった殿様を担いだことが戦略の失敗であること間違いない。週刊新潮で細川陣営の関係者も、出馬表明のあとの会見を何度も延期し、公開討論会も欠席するなど、メディアへの露出がどんどん遅れ、公示後もテレビなどの公開討論の誘いも断っているため、佐川急便の献金問題から追及されるのを逃げていると思われても仕方ないと語っている。

   『週刊ポスト』『週刊朝日』は選挙の魔術師・小泉氏には「大逆転勝利」への秘策があると、起死回生に望みをかけているが、どの策も大勢逆転の可能性は少ないようだ。週刊ポストは細川首相が辞任を決断したNTT株4億2000万円取り引きの真相についても詳しく記述し、細川氏を首相退陣に追い込んだ村上正邦氏(元自民党参院議員会長)に佐川急便問題はでっち上げだったといわせている。

<「検察が押収していた佐川の貸付記録には、借りっぱなしになっている自民党の大物たちの名前が連なっていて、だからこそ、検察も資料が出せなかったんだ。(中略)
   追及する自民党側は佐川から金をもらったままだったんだから、無茶苦茶な話だよ」>

   こうした「証言」も細川氏がこの問題に触られるのを嫌がって逃げているのでは、何の力にもならない。

   週刊朝日ではこんな秘策も載っている。安倍晋三首相(59)夫人の昭恵さん(51)が、細川陣営のブレーンの1人である元経産官僚の古賀茂明氏(58)と首相公邸で「密会」していたというのだ。しかも、昭恵夫人はFacebookに古賀氏と面会した時の写真を掲載して、さらに衝撃が広がったという。

<昭恵さんと言えば、昨年は「脱原発」の主張を繰り返す「家庭内野党」として、注目を集めた人物である。
   古賀氏を直撃すると、「公邸で会ったのは事実だが、中身は話せません」とやけに口が重い>(週刊朝日)

   細川陣営の関係者は「細川支援を打診したのでしょう」といっている。そうだとしたら話はおもしろくなるが、可能性はまったくといっていいほどないだろう。

   すでに、「戦いすんで日が暮れて」の感があるが、ひと言だけ安倍首相にいっておきたいことがある。かりに舛添氏が勝ったとしても、脱原発を主張する細川氏と宇都宮健児氏の得票数を足して1票でも舛添氏を上回ったら、都民の『意思』は脱原発なのだから、再稼働は中止すべきだと思うのだが、いかがだろうか。

「籾井勝人NHK会長」三井物産社長なれず大暴れ!銀座のバー出入り禁止

   どうして次から次へと安倍首相の『お気に入り』の人たちは問題を起こすのだろうか。それとも「類は友を呼ぶ」ということなのだろうか。NHKの新会長になった籾井勝人氏(70)の就任会見での『放言』が国際問題になっているのだ。

   お復習いしておくと、戦時の従軍慰安婦について問われた新会長はこう話したのである。「戦争をしているどの国でもあったでしょ。独仏にありませんでしたか。そんなことはない。じゃあ、なぜオランダに、今ごろまだ飾り窓があるんですか。僕が一番不満なのは、韓国が今やっていること。日本だけが強制連行したみたいなこと言っているからややこしい。『カネ寄越せ、補償しろ』と言っている。すべて日韓条約で解決しているのに、なぜ蒸し返されるのか」(週刊新潮より)

   この他にも問題発言はまだある。「尖閣諸島・竹島などの領土問題で、一部経費を国が負担する海外向け放送による政府見解の発信強化に意欲を見せ『政府が右ということを左というわけにはいかない』と述べた」(1月28日付朝日新聞より)

   この御仁、三井物産で鉄鋼一筋でやってきて、役員、米国法人の社長、2002年には専務に昇格し、一時は次期社長かといわれたことがあったという。だが、籾井氏が通っていた銀座のオーナーママによると、物産の社長になれないとわかったとき、会社のデスクをひっくり返して暴れたという。そのバーでも酔って暴れて出入り禁止になったというから、粗暴の人のようである。

   子会社の社長になっても実績を残せず、終わったと思われていたのが、今回の抜擢人事で有頂天になり、「俺が会長として、放送を、ひいてはメディアを変えてやる」(NHK幹部)と意気込んでいたようだが、ハナから躓いてしまった。

   メディアの長たる者が権力者に阿(おもね)って韓国批判をしたついでに、ヨーロッパの国名をあげて中傷するなどは前代未聞である。メディアのイロハもわからず、権力のポチになり下がった人間にNHKを委ねていいはずはない。

   三井物産は過去にも元会長の池田芳蔵氏がNHK会長になったが、わずか9か月で辞任に追い込まれたことがある。今回はいつまでもつのだろう。

   いまひとつ気になることがある。NHKの会長人事は12人の経営委員会で決定される。昨年12月(2013年)に、安倍首相はそこへ自分と親しい4人の経営委員を送り込み、籾井氏が選ばれたのだが、そのひとりである作家の百田尚樹氏が、この件についてこうツイートしたといわれる。

<毎日新聞では、籾井氏の発言に対し、「経営委員側からは『外交問題に発展しかねない。選んだ側の責任も問われる』と失望の声がもれた」とあるが、少なくとも経営委員である私は何も言っていないぞ。誰が失望したんや!名前書けや>

   百田氏は都知事選に関してこうもツイートしているそうだ。<私は関西在住だが、舛添にも細川にも、東京都の知事にはなってほしくないと思っている。もし私が東京都民だったなら、田母神俊雄氏に投票する>

   誰を支持するのも勝手だが、こういう考えの人間たちが大メディアであるNHKを支配しているのかと思うと、私は情けなくなる。

農薬男・阿部利樹「模倣犯」怖い!50男が年収200万円の「格差時代」

   いやな話題ばかりが続いて恐縮だが、マルハニチロの冷凍食品に農薬「マラチオン」を混入させた犯人・阿部利樹容疑者(49)が逮捕されたが、その容貌や奇矯な日常が関心を集めている。週刊文春によると、阿部容疑者は妻と長男の3人で群馬県大泉町で暮らしているが、自宅周辺ではちょっとした有名人だったらしい。

   改造したビッグスクーターに乗り、大音量の仮面ライダーの歌をかけて走り回っていたという。その他の趣味はアニメのコスプレとカブトムシの養殖だった。高校卒業後は自動車部品を扱う会社や新聞配達などを転々とし、8年前からアクリフーズ工場で冷凍食品の製造に関わることになったという。アクリ社の従業員の話では、「愛想がよくて、たまに他の製造ラインに現れては、冷凍する前の揚げたてのコロッケを、よく『つまみ食い』していました」というから、ネクラのオタクタイプではなかったようだ。

   週刊文春のモノクログラビアに逮捕時の写真が出ている。醜悪な中年オヤジそのもので、いかにも悪いことをやりそうな悪相だが、動機は何なのだろう。週刊文春は年収の少なさへの不満からだとしている。2012年4月から賃金体系が「年功制」から「能力型」へと変更され、「阿部容疑者の年収は約二百万円」になったという。

   元従業員も「工場内で給与に不満を持つ人は多い」と語っている。もちろん彼の卑劣な犯行は絶対許せないが、50近い家庭を持った男が月14万円にもならないのではと、彼の憤りがわからないでもない。

   アベノミクスだと浮かれ騒いでいるのはほんの一握りの大企業と、株でアブク銭を掴んだ極々一部の人間だけである。格差はいっこうに縮まらず、生活必需品は値上がりするばかりで、貧困世帯や年金生活者は明るい未来など夢想だにできはしない。

   集団的自衛権を容認して軍備増強に走るのではなく、社会福祉にもっとカネを使わないと、こうした『会社を恨み世間を恨む犯罪』が多発することは間違いない。社会の蔭の部分を見ようとしない、救おうとしない永田町の政治屋たちに『天罰』が下る日は必ず来るはずだと思いたくもなる昨今である。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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