<山田太一ドラマスペシャル 時は立ちどまらない>(テレビ朝日系)
東日本大震災から3年…ひとくくりに「被災者」なんて言ってほしくない!すべてを失った家族、生き延びた家族それぞれの葛藤

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   東日本大震災をテーマに山田太一が描く家族の崩壊と再生の物語である。中井貴一、樋口可南子、柳葉敏郎、橋爪功、黒木メイサ、神木隆之介ら達者な役者たちも見もののひとつだった。

   西郷家の一人娘・千晶(黒木メイサ)が浜口家の長男・修一(渡辺大)と結婚することになり、2つの家族が顔合わせするところから物語が始まる。西郷家は父・良介(中井貴一)、母・麻子(樋口可奈子)、祖母・奈美(吉行和子)と千晶の4人家族だ。浜口家は父・克己(柳葉敏郎)、母・正代(岸本加世子)、祖父・吉也(橋爪功)、祖母・いく(倍賞美津子)、弟・光彦(神木隆之介)と修一の6人家族である。

   顔合わせから5日後の3月11日、東日本大震災は2つの家族も襲い、運命が大きく変わる。浜口家は祖母、母、長男が津波にのまれて死亡し、自宅も漁に出るための船も失った。何もかも失くした浜口家を「家族になるはずだったんだから」と気遣う西郷家の人たちだが、彼らも自分たちは家も家族も無事だったことに負い目を感じている。

   そんな申し出を吉也は「こっちはなんにもない。ありがとうしかない。綱もロープも船も…。女房に嫁に孫までいない。それ、俺のせいか。息子のせいか」と拒否する。同じ被災地でも、被害に合った者と合わなかった者がいて、それぞれに葛藤があるのだ。

山田太一「「報道やドキュメンタリーでは言えなかった気持ちを書きたかった」

   脚本の山田太一は「報道やドキュメンタリー番組に描かれなかった被災者の葛藤や、言えなかった気持ちを書きたかった」と語っていたが、たしかにその思いは伝わってきた。

   ドラマのラストで2組の家族が3年後に浜口家があった場所を訪ねる。吉也は「意気地がなくて来られなかった。3年経つのにまだこんなんなんだな」とつぶやく。空撮で海岸沿いの様子が映るが、そこはまだ荒れた空き地のままだ。

   残念なのは2時間という時間ではあまりにも短く、家族ひとりひとりの描き方がもの足りない。本来なら、こういうドラマこそじっくり連続ドラマにすべきではとも思う。出演者はみんな東北弁なのだが、秋田在住の柳葉の東北弁はさすがのネイティブで違和感なし。ただ、同じ東北でも太平洋側の人たちが聞いたら、「あれは違う」と感じているのだろうな。(放送2014年2月22日よる9時~)

(くろうさぎ)

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