2019年 2月 18日 (月)

朴槿恵大統領「沈没視察パフォーマンス」日本の首相だったらどうしたか?遺族・家族の怒号渦巻く現場

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<「朴(槿恵=筆者注)大統領の周囲は反対したそうです。こうしたときは、国の指導者として、あらゆる情報を総合して、大局的に判断をしなければならない。しかしその反対を押し切った。
 現地でのパフォーマンスは怠りなく、家族らに情報を伝えられるよう大画面のテレビを体育館に持って来させたり、男性から電話番号を書いた紙を渡され、激励の電話をかけたりしていた。こんな細かいことを、国のトップがやっている場合ではないでしょう。
東日本大震災の際、当時の菅直人総理が福島第一原発上空を視察して、現場を混乱させた様子を彷彿とさせました」>

   これは『週刊文春』の「韓国沈没船300人を見殺しにした朴槿恵の大罪」の中のソウル特派員のコメントである。

   韓国南西部の珍島付近で乗客乗員462人を乗せた韓国旅客船セウォル号が沈没事故を起こしたのは4月16日だった。乗客の多くが修学旅行中の高校生で、現時点(2014年4月24日)でも、判明した死者は159人、安否不明者は142人もいる。海難事故としても最大級で、しかも事故から1週間以上経つというのに行方不明者の捜索はなかなか進んでいない。

   また、最後まで船に残り、乗客を助けなくてはいけない船長がいち早く「海難救助艇」に乗り込むなど、乗組員29人のうち7割に及ぶ20人が救出されたのに、高校生の救出者は78人(4月24日時点)でしかない。遺族や行方不明者の家族から船会社はもちろん政府への批判が高まるのも当然である。

   ソウル特派員はイ・ジュンソク船長(68)の行動をこう非難する。<「イ船長は船が傾き始めてから四十分後の午前九時半ごろ、すでに逃げ出しています。早い段階から、救助の指示をするわけでもなく、デッキで救助艇を待っていたという証言さえもあります。生存者名簿記入の際、身分を『一般市民』と名乗り、病院では海の水で濡れた紙幣をオンドル(床暖房)で乾かしてたそうです」>

   遺族ならずとも、これが事実なら八つ裂きにしてやりたいと思う。週刊文春によれば、<運行責任者として信じがたい行動を取ったイ船長に対し、韓国検察と海洋警察の合同捜査本部は、乗客の救助を尽くさず船を脱出したとして、最高が無期懲役となる「特定犯罪加重処罰法」を昨年七月の制定後初めて適用して、逮捕した>というが、当然のことであろう。

   安倍首相が事故後すぐに韓国側に哀悼の意を伝え、必要な支援を行う用意があると伝えたが、韓国海洋警察からは謝意があったものの、「特段の支援はいらない」と断りが入ったということを、週刊文春は批判している。日本の海上保安庁や海上自衛隊のスキルをもってすれば、もっと救助作業はスムーズにいったのではないかというのである。

   だが、韓国政府関係者がいっているとおり、事故発生直後、現場が混乱していて、指揮命令系統がバラバラで冷静な判断ができなかったというのも事実であろう。これだけの事故で、座礁後あっという間に船が沈んでしまったことを考えれば、日本から援助に行っても何ができただろうか。

   そこで気になるのはタイトルである。「300人を見殺しにした」のは朴槿恵大統領ではなくイ船長である。テレビで見る限り、朴大統領は泣き怒る遺族や行方不明者の家族たちの疑問や怒りに真摯に対応しているように見えた。冒頭のコメントにある、福島第一原発事故の時の菅直人首相の場当たり的な行動と一緒にするべきではないはずだ。事故の深刻さは同じかもしれないが、放射能事故と今回の事故とでは、一国のトップが果たすべき役割は違うはずだ。日本の政治家だったら、官邸に籠もり「遺憾の意を表する」というコメントを発表するだけで、朴大統領のように素早く現場に行き、怒号渦巻くなかに自ら入ることなどできはしなかったのではないか。

反韓・嫌韓記事 リベラル「団塊世代」まで愛読しはじめた危うい兆候

   話は少し変わるが、先日、「東京新聞」から取材の電話がかかってきた。いつものように週刊誌で反韓・嫌韓記事が目立っているが、それについてのコメントをくれというのである。私は概ねこんなことを話した。

   週刊文春や週刊新潮のような保守系雑誌にそうした特集が掲載されるのは、読者がいて売れるからで、必ずしも編集部自身がそう考えているわけではないのではないか。だが、心配なのは、これまでは、こうした『空気』を支えていたのが比較的若い層だったが、最近はそうではなくなってきていることである。週刊誌の読者の多くは団塊世代である。彼らは戦後の民主主義教育を受け、本質的にリベラルであったはずだが、その高齢者たちまでが、そうした記事を受け入れているのは、背景に安倍政権のタカ派路線があるにしても、危うい兆候ではないかと思う。

   行き過ぎだと思うのは本のタイトルも然りである。「呆韓論」「悪韓論」「『妄想大国』韓国を嗤(わら)う」「日本人が知っておくべき 嘘つき韓国の正体」「韓国人による恥韓論」…。祥伝社が出した「どの面下げての韓国人」では、朝日新聞に出稿した広告表現に対して、弁護士の神原元氏が「ヘイトスピーチ」に当たるとして朝日新聞に内容証明郵便を送付したそうだ。

   韓国、中国から『先進国』だと思われている日本の出版界が、売れるからという理由だけでヘイトスピーチのような本や雑誌を山のように出版しているというのは恥ずかしいことである。

   韓国の新聞は今回の沈没事故を批判し、4月21日付の『中央日報』は韓国は「『先進国』の名刺をしばらく引っ込めよう」という記事を載せ、日本政府が「内閣危機管理監」の下で自然災害や海難事故に迅速に対応していることを紹介し、自国のことをこう書いているという。

<いくら経済規模が大きくなったといっても、国民の命が保障されない社会を誰が自信を持って先進国だと言えるだろうか>

   この言葉はいまの日本にもそのまま当てはまる。そうであれば、『週刊新潮』のように「日本人には少し違和感『韓国フェリー沈没』の悲劇」ぐらいが適当なタイトルだと思う。

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