2024年 5月 1日 (水)

「日本に活躍の場ない」ライバル台湾メーカーに流出するベテラン技術者たち!次世代ディスプレイ開発『請け負い』

技術屋のやりがい奪ってきた日本メーカー

   鴻海に参加するのは技術者ばかりではない。後藤氏が頼りにしているのは日立時代から付き合いのあった装置メーカ―「東京応化工業」である。有機ELディスプレイのもとになる薄いフィルムの製造で独自の技術を持っている。ディスプレイの画像をより高画質にする技術を持つ「ブイ・テクノロジー」の装置導入も決めている。

   鴻海は今年に入って人材採用の拠点となる子会社を大阪に設立した。このほどシャープの技術者など設計や生産技術のエキスパート10人余りを採用した。開発を託された技術者たちにとっては、やりがいの半面、不安もあるに違いない。後藤氏は「いまは試されているのかなと考えてます。いまは顧問とかいう肩書で呼ばれていますが、ゲストじゃなくて、鴻海の本当のメンバー、社員になれる日本人が重要だし、そこを目指そうと思います」と話す。

   彼ら技術者を見送った大手電機メーカーは今のところお手並み拝見といったところだろうが、開発に成功したらやはり相当なショックを受けるに違いない。

   国谷裕子キャスター「技術者一人ひとりにとって、画期的な商品開発に挑めるとあってやりがいがありますよね。あとに続く人が出てくると思いますか」

   産学連携推進機構の妹尾堅一郎理事長はこう話す。「続くと思いますね。今回は新しいものを一緒に作ろうと呼びかけられた。みんな晴々した顔をしているのは、技術を自分たちで使うぞという喜びがあるからでしょう。こういう風潮になったら、結構ドッと行く可能性はありますね」

   国谷「そうなると日本は技術力を維持できるか心配です。技術力を使って新たなイノベーションを生み出せるかどうか。これからどうしたらいいでしょう」

   妹尾理事長「一つは、技術は現場がないとしょうがないんで、どうやって日本に現場を残すかというのがあります。もう一つは個々の技術者、優秀な中小企業はたくさんありますが、それをちゃんとした力に持ち込めるようなプロデューサーというか、軍師と言ってもいい、強い将兵を束える作戦が練れる人が必要です」

   国谷「そういう人いますか? どこにいますか?」

   妹尾理事長「そこに注力して育てていかないと、この流れを押しとどめることはできないだろうと思います。これから日本の経営者は腕の見せどころ。その決断、覚悟ができるか問われています」

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2014年6月4日放送「ものづくり潮流に異変~日本人技術者たち アジアへ~」)

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