2024年 5月 6日 (月)

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「国民年金納付率改善」大ウソ!国が勧める「免除・猶予のススメ」支払い求めず辻褄合わせ

   『週刊ポスト』は先週号で、厚生労働省が発表した国民年金納付率「60.9%」はおかしいと報じたが、今週号でも「本当の納付率」は39.9%と4割以下に落ち込んでいるのに、増えているように見せるカラクリは、保険料納付の免除者(384万人)や学生などの猶予者(222万人)を増やして、分母(納付すべき人)から除外することで見かけの納付率を上げるというものだと告発している。

   その証拠に、週刊ポストはこういう実例を挙げる。都内に住む30代の男性Aさんの自宅に、突然女性が訪ねてきた。

「年金のことでお話ししたいことがあるのですが」

   自営業のAさんは現在のマンションに越してきてから2年弱、仕事が忙しくなったこともあって、国民年金の保険料を支払っていなかったので、そのことだろうとピンときたという。しかし60歳前後の女性は、「未納分の平成24年分と25年分について、保険料免除の申請ができるんです。こちらの書類にサインしてください」というのだ。<このやりとりこそ、厚生労働省の「納付率粉飾」を象徴する出来事なのだ>と週刊ポストはいう。

   免除者増やしは国策で、Aさんを訪問した女性はその役割の一端を担っているのだ。玄関先で女性から渡されたのは、「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」というA4判2枚つづりでカーボンコピーになっている。未納分を支払ってくださいという言葉はなく、初めから免除できますというやりとりだった。Aさんは支払う意思や余裕があるかどうかすら聞かれていないのだ。これでは単に払うのを忘れていただけで収めたいと思っている人も免除申請してしまうし、これと同様の未納者訪問が全国で繰り広げられていると週刊ポストは追及する。

   この「免除のススメ」を行っているのは年金事務所の職員ではない。09年からこうした事業は民間事業者に委託されているのだ。保険料収納という事業内容から見れば、未納者に支払いを督促するのが仕事だと誰もが思うだろうが、それが違うという。元年金事務所幹部がこう証言している。

<「上からは、とにかく納付率を上げろとハッパをかけられている。よほどのバカでなければ、そのためには支払いを求めるより免除者を増やすほうが早いとわかります。
   訪問前に一応、支払ってほしいという督促状は送っているが、現場では『免除というお得な制度がありますよ』と勧めているのが現実です」>

   厚労省が納付率を発表した資料の中で、自営業者などの国民年金加入者(第1号被保険者)約1805万人のうち、全額免除・猶予などを受けている人は606万人と前年より19万人増えたことを明らかにした。それとは別に、259万人の未納者がいて、納付者はわずか940万人となっている。納付者は前年より41万人減少し、納付総額も単純計算で200億円以上減っているのだ。

<払う人が減り納められた保険料も減ってる現場を見て、「年金財政は改善に向かっている」という政府の発表、そしてそれをそのまま報じる新聞やテレビの言葉を正しいと感じる国民はまずいないはずだ>

   週刊ポストのこうした指摘に怒りを覚えない国民はいないだろう。<免除者が増えれば、当然ながら年金財政も空洞化が進む。日本の年金制度は現在の高齢者を現役世代が支える仕組み(賦課方式)だから、免除推進はわざわざその支え手を減らす取り組みといえる。

   厚労省がやってることは、年金財政と国民の老後の両方を崩壊させる天下の愚策なのだ>

   なぜこうしたことを新聞やテレビは詳しく報じないのか。官界・財界御用達は日本経済新聞だけではないということなのだろう。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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