<プロミスト・ランド>
マット・デイモン表情で演じる「ビジネスマンの葛藤」シェールガス開発で村は本当に豊かになるのか…

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(C)2012 Focus Features LLC. All Rights Reserved.
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   「グッド・ウィル・ハンティング」のガス・ヴァン・サント監督とマット・デイモンが再びタッグを組んだ。貧しい田舎町のシェールガスをめぐる物語だ。莫大な利益を生むシェールガスの採掘で農村の貧困を打開しようと目論むエネルギー会社の社員スティーヴ(マット・デイモン)の奮闘と心境変化を描く。

社会派映画に独特の味付けしたガス・ヴァン・サント監督

   新たな価値観をその土地に昔から暮らす者は容易には受け入れることはできない。ましてやガス採掘となれば、先祖が守ってきた土地を切開手術をするようなものだ。土地の景観や自然を愛していればなおさらである。だが、貧困のままではいたくない。わが子に立派な教育を受けさせてやりたい親は、ガスの採掘権を売ることによって夢はかなうのだ。

   スティーヴが働く「グローバル社」という社名は、明らかにアメリカのグローバル化をもじっており、画一化していく全体主義=アメリカ化と、伝統と習慣を重んじる独立主義の対立構造を描いている。骨組みはガチガチな社会派映画であるが、ガス・ヴァン・サント監督は会社の仕事と住民の「豊かさ」との間で葛藤するスティーヴの心境変化の描き方に独特の味付けをする。

拍子抜けする「まとも過ぎる結末」ドラマとしてはまとまってはいるが…

   ネタバレになってしまうので控えめに記述すると、物語の流れからすれば、環境問題を通して思想を張り巡らし結論にたどり着くというのが正攻法だろう。しかし、スティーヴは非常にプライベートな理由で、自分と農村に対しての解答を見つける。物語の整合性を重んじる方は納得いかない「運び」かもしれないが、非整合性の中にこそ人間は存在しているという現実感は、この物語の主題なのかもしれない。

   観客の予想を裏切りながら物語は終盤に向いながら、題名の「約束の地」=アメリカの建国理念に繋がっていく。これでは何とも予想通り、かつ目新しさに欠け、やや説教くさいが、ドラマとしては良くまとまっているという印象はもつ。葛藤するマット・デイモンや農村の人々の「表情」に注目していただきたい。

   音録りをしないテイク=役者に表情だけで演技をさせ、編集時に音とつなぎ合わせることによって生まれるガス・ヴァン・サント独特の演出が要所で光っている。

丸輪太郎

おススメ度☆☆☆

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