「インフォマ番組」舞台裏!撮影アングル、カット割り、出演者...すべて企業から厳しいチェック

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   ファッション雑誌の記事に目が釘付けになった。美しいニコール・キッドマンがほほ笑んでいる。それは彼女が演じるグレース・ケリーの半生を描いた映画の記事なのだが、こう書かれていた。「モナコ公妃グレース・ケリー。この名前、馴染みが薄い人も多いかもしれないが...」。バッカじゃないのと思わず声が出る。グレース・ケリーの名前を知らない人がいるの。リアル・シンデレラストーリーを生きたハリウッドの伝説的な女優であり、ケリーバッグの由来の彼女の名前を知らないの!

   記事を掲載しているのは、溜息が出るようなハイファッションがドカドカ並ぶ海外の雑誌だ。間違っても「100均グッズ使いまわし術」や「撮った!××の熱愛スクープ!」みたいな記事を求める読者層ではない。ファッションについて興味のある人種が読み手ならば、グレース・ケリーについて馴染みの薄い名前と書き加えるだろうか。

   映画の宣伝記事なのに、これでは映画そのものの評価や期待を下げかねない。あんまり知られていない人の映画ですけど、まぁ結構面白いんで見たければどうぞ...と読みかえることもできそうだ。なんたる雑誌だ! 権威のある雑誌なのに残念でならないと憤慨した。

ドキュメンタリーだと思っていると...「私の人生これのおかげ」とニッコリ宣伝

   しかし、はたと気づいた。あれっ、もしかしてもうそういう時代なのかな。ファッショニスタでもグレース・ケリーを知らない世代がメインターゲットの消費者になっているのかもしれない。今のハリウッドセレブの名前はファッションスナップに出てくるからなんとなく知っているけれど、昔の女優と問われると、マリリン・モンローぐらいしか知りませんということなのだろうか。

   それにしても、女性ファッション誌はスゴイ。800円以上も払っていくつかのブランドカタログを買うようなものだ。着まわしスタイリングや読み物、最新グルメ情報、新作小物といった定番ページは全体の4分の1ほどしかない。あとはぜ~んぶタイアップ企画。「モデル○○が選ぶ、本当に欲しいもの」「女優△△の休日スタイル」とかタイトルに打っておいて、ページをめくるとすべて一つのブランドの服で構成されているものが多い。

   たいてい小さく「モデルのだれそれが着るどこそこの新作」とか出ているけど、この類の企画が6種類ぐらい続く雑誌って、まるでテレビのインフォマーシャル番組と一緒じゃないか。インフォマーシャルとはインフォメーション とコマーシャル を合わせた造語だ。人生を追ったドキュメンタリー番組かと思って見ていたら、健康ドリンクやサプリを飲みだして、これまで辛い人生を語っていた人が「私が元気でいられるのも、これのおかげです」なんてニッコリしている。そして、番組終了後30分以内にお電話いただいた方に限り値引きなんてカットが入る。

   ここまであからさまなものは限られているけれど、BS局では1社でその商品に絡んだ内容で制作するものが多い。CM番組内容に絡んだインフォマーシャルになっているというもので、番組にはクライアントのチェックもあり、制作には気を遣う

視聴率よりも法律・広告ガイドラインのクリアに腐心

   雑誌の場合は、同じ商品でも誰にどんな風に着てもらうか、ブランドメッセージをどう表現していくかというクリエイティブな精神が働くのだろうが、テレビ番組の場合はそうはならないなぁ。クライアントの要望を薬事法や誇大広告にならないかをクリアしながら叶えていくだけのような気がするのはナゼだろう。

   最後にひとつ。昔、大御所スタイリストが雑誌をファッションの参考にしてはいけないと本末転倒なことをいっていたっけ。1つのブランドでページ構成するから、本当のファッションではないことをわかっておけと。

モジョっこ

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