2024年 5月 5日 (日)

立派な会社と思ったら・・・エッ、詐欺カンパニー!?騙されたと気付かせない巧妙さ

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   兵庫県内に山林を持つ80代の男性は昨年春、不動産仲介の営業マンの訪問を受けた。「山林を売らせてください」という。処分したかった土地だ。「中国人の富裕層が日本の山林を買っている」という話に乗って、調査費など38万円を払った。

   仲介会社は500万円(坪8万円)の値段をつけた。立派なパンフは「500萬日元」と中国語表示で、「売物件」という看板を立てた現地の写真入りだった。実在する中国人向けの仲介サイトにも掲載されていた。

   どんな会社かと見にいった。大阪のビジネス街の一等地のビルの一室。「未来土地コーポレーション」と立派な看板がかかり、全日本不動産協会加盟をうたっている。受付には制服の女性が3人いて、熱いお茶をいれてくれて担当の営業マンが現れた。これは大丈夫と安心したという。

ハローワークに高給で求人・・・社員たちも『本業』知らなかった

   兵庫県のこの被害者はニュースで「社長を逮捕」と出るまで騙されたことに気づかなかった。直接の容疑は12人から420万円余をだまし取った疑いだ。土地所有者から受け 取った1件30数万円の手数料だけで、会社は他には何もしていなかった。警察は同様の手口で5000人から13億円を得たと見ている。

   客だけではなく社員もだまされていた。一般求人広告で募集し、宅地建物取引業免許を持つものもいる。月給は歩合制で月60万円。営業マンは手数料契約 をとるだけ。土地売買は幹部がやるといわれていた。元幹部がいう。

「社員を信じさせることが重要。立派な事務所の家賃は月70万円。協会の入会金は百数十万円。信じ込ませるための先行投資です。やってることは詐欺だからすぐ取り返せる」

   前述の兵庫県の山林を不動産業者は「1000円でも売れるかどうか。80倍ではだれも買いません」という。売り主には「まだ売れません」といい続けるわけだ。

   警察庁が29日(2015年1月)に発表した昨年度の特殊詐欺の被害額は、初めて500億円を突破した。いわゆる「オレオレ詐欺」に混じって、一般会社を装った「詐欺カンパニー」が増えている。28日に摘発された東京の会社はカンボジアの不動産投資を勧誘して25億円をだまし取っていた。

堂々と店構え看板掲げて受付嬢や物腰柔らかな営業マン

   カンパニー型詐欺の特徴をNHKの野本勝記者は「従来の詐欺とは逆に、堂々と店を構え、一般の会社と見分けがつかないようになっているんです。社員の採用でもハローワークに高給を出すと言って求人していました」という。相手に気づかれても、前出の例でいえば被害額は30数万円だ。仲裁や訴訟、弁護士費用を考えると行動を起こさせず泣き寝入りのギリギリの線だという。

   東京都内の70代の男性はクレジットカードへの出資詐欺で300万円をだまし取られた。セミナーに参加したら、主催者は「いま3000万人がカー ドを持てないでいる。38兆円の市場だ」とぶった。あとで立派なカードが送られてきた。16ケタの番号、カスタマーセンターの連絡先もあって、磁気も入っているように見えた。男性は「これでまた事業がスタートできる」と喜んだ。

   しかし、その会社はすでに空き家になっていた。元社員は「信用させるには精巧な カードを作る必要があった」という。大手とも取り引きのあるカード製造会社を選んだ。1000人以上が9億円を出資してしまった。

   都内のデザイン会社には、時折、不審な依頼がある。太陽光発電の豪華パンフの制作で、「本社の外観写真はどうしますか」と聞くと、「かっこいい建物を適当に載せてください」という返事だった。デザイン会社は「詐欺の片棒を担ぐかもしれないとと思うと気持ちはよくないが、断るのはむずかしい」という。

   弁護士の葛田勳さんは「人はどうしても外見や肩書きを信用してしまいます。年配の人は株式会社というだけでも信用する。いまはベンチャー支援の法改正で、簡単に株式会社は作れるんです」という。だまされないためには「急がせたり、『あなただけ』というときは、1度立ち止まること」

   かつて建設業界のフィクサーがいっていた。「いい事をする時はいい加減でいい。悪い事をする時は全身全霊を傾けるもんだ」と。「浜の真砂は尽きるとも」か。最後は自分で守るしかないらしい。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2015年1月29日放送「詐欺カンパニー~『普通の会社』があなたをだます~」)

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