株価2万円台でも盛り上がらない「賃金」「消費」!生活防衛モードすっかり定着

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   日経平均株価が15年ぶりに一時2万円台を回復した。証券各社の拍手の一方で、街の声は「給料が上がってないしね」と冷ややかだ。大企業中心の好況をよそに、消費者は依然節約志向で、とても景気回復とはいえない状況だ。

   2年前に日銀が打ち出した大幅な金融緩和で描いたのは、「2年で2%の物価上昇」を目標に、企業の収益改善、投資、賃金アップ、消費の伸び、さらに企業収益という好循環シナリオだった。2年経ったいま、物価上昇率は消費増税分を除くとゼロ%台と目標にはほど遠い。消費が動かないのだ。消費支出は11か月連続減少である。

売れ筋清涼飲料は90円台から80~70円に・・・

   ミスタードーナツは1個100円が人気だったが、先週から194円のものを売り出した。1週間で100万個が売れた。「安さより食べたいもの」という「客のニーズとわれわれの方向性を見つめ直した結果」と胸を張る。はたしてそうか。

   逆の結果もある。キリンビバレッジは昨年、原料と製造にこだわった200円の製品を出した。当初こそ売れたが、その後、客は離れた。いま容量を減らして価格を下げるどうかか、試行錯誤している。

   市場調査会社「インテージ」によると、昨年3月までの1年間に一番売れた清涼飲料水は90円台だった。1年後のいま、それが80~70円になった。5万人を調査した「年代別購入金額」は、前年比で60代はわずかに増えたものの、他の世代は若くなるほど減って、30代でマイナス5%、20代ではマイナス7.2%になっていた。とくに子育て世代のマイナスが大きい。

   都内のスーパー西友の目玉は「プライスロック」だ。向こう半年間は絶対に値上げし ない商品で200品目ある。西友はコスト削減で価格を抑え、さらに対象を広げようとしている。「客は防衛モードだと思います。これは長く続くトレンド」だと考えている。

円安頼みの経済見通し

   なぜ個人消費は伸びないのか。元日銀理事で富士通総研の早川英男氏は「期待で動く金融市場は円安、株高を起こしたが、企業や家庭は期待では動きません」という。企業は収益がよくなってもボーナスはともかく、賃上げにはなかなか踏み込まない。バブル崩壊に始まる数々のダメージで「慎重なクセがついた」と見る。

   賃上げに踏み切った企業も背景はさまざまだ。スマホ向けの液晶バネルの大手「ジャパン・ディスプレイ」は今月から月額3000円アップした。人材確保のためだ。中国などからの受注増で輸出が30%増え、「強い技術力と開発力で社員への期待をこめて」という。

   自動車用電子部品を作る社員20人の平電機(静岡・長泉町)は、新規採用の初任給を5万円アップして21万円にした。若手社員の賃金もアップする。転職されないためだ。代わりに社長は2割カット、年配社員の昇給はストップした。「でないと人が来ない」と社長は語る。

   有効求人倍率は年初から1.15と高い水準にある。実態は人手不足なのだ。早川氏は「一番大きいのは団塊の世代の退職です。生産年齢人口(15~64歳)は94年をピークに減少し続けています。これは長期間続く」という。だから賃金上昇も少しづつ時間をかけて実現するしかないのだという。

   「今年の後半には物価上昇率は上がると思う」ともいった。ただ、条件の1つに「原油安という神風を生かして」といったのが気になった。日銀のシナリオにはなかった偶然である。人手不足が景気回復を後押しするという観測もあるそうだ。もっとも、経済予測に正解なんかない。「ホントかよ」といいたくなる。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2015年4月16日放送「景気回復はどこまで~検証・日本経済~」)

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