2024年 4月 26日 (金)

<医師たちの恋愛事情>(フジテレビ系)
斎藤工ちっともセクシーじゃない「いまもっともセクシーな男」全力投球のドキドキ演技きもち悪い

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   タイトル通り、お医者さんの恋愛模様を描くドラマである。これが成功したら、「職業もの」×「恋愛もの」で他にも作れると制作陣が思ったかどうかはわからないが、公式ホームページによれば「『医療ドラマ』と『恋愛ドラマ」が融合した『医療ラブストーリー』、是非ご期待ください!」とフジテレビは息巻いている。それもそのはず、同じフジテレビ木10枠だった「昼顔」でセクシー俳優として広く認知された斎藤工主演なのだ。

   舞台は大学病院。患者を救うことだけを考え、利益を第一とする体制に反発する熱血医師、守田春樹(斎藤工)と、仕事に没頭して独身でいる外科医、近藤千鶴(石田ゆり子)のラブストーリーをメインに、シングルマザーで肉食女子の麻酔科医・河合奈々(相武紗季)、誰彼かまわず手を出すセックス依存症の外科医・高橋宗太郎(平山浩行)、不妊治療中だが夫とうまくいっていない内科医・市川友子(板谷由夏)とその不倫相手の外科医准教授・仁志祐介(伊原剛志)・・・と、豪華なキャストが恋愛模様を繰り広げる。

   たしかにみなさんいろいろな「事情」がおありなのね、とは思うものの、「医療ドラマ」として見ればいいのか、「恋愛ドラマ」として見ればいいのかわからず、どうも落ち着かない。フジテレビが言うほどその二つの融合はされていないのだ。

   ドラマのキャッチコピーは「命を救う人間が、恋に落ちてはいけませんか」だが、誰が考えてもいけないはずはない。いけないと言っているのは経営本部長の渡辺(生瀬勝久)だけなので、インパクトはない。医者は聖人君子であるべきだというわけではない。ドラマの描写がリアルかどうかはさておき、私生活は職業を問わず、生々しくいろいろあって当たり前だ。

お楽しみは露骨なベッドシーン!?悪趣味な・・・

   そんなこちらの違和感をよそに、ドラマの中では「今もっともセクシーな」斎藤工を存分に堪能あれと言わんばかりに、ドキドキさせるようなシーンが次々に出てくる。妙に近い距離での会話、思わせぶりな首筋の傷跡チェック、桜の木の下で後ろからハグ・・・。わかりやすいベッドシーンは今のところ別の担当(伊原&板谷)がいるが、中盤以降に満を持して出してくるのだろう。

   しかし、これも「セクシー! 胸キュン☆」とそのまま受け取るべきなのか、「ていうか、正直気持ち悪くない?」と受け取っても良いものか、その二つの間の微妙な地点にある斎藤の演技に逡巡してしまう。いや、逡巡している時点で、すでに「気持ち悪い」側に傾いている(ああ言ってしまった)。

   加えてタイトルバックの映像がひどい。斎藤が全裸(に見える)女性を診察台に寝かせてあれこれ処置している中、その女性の手足が急にビクッとなるシーンのアップ。これと、手術中に病院の人事の話をするシーンには、全国のお医者さんが抗議してもいいと思う。

男版の壇蜜路線まっしぐら!本人も自嘲気味

   斎藤工はここ数年、頻繁にドラマ出演している俳優だ。私が初めて注目したのはNHKの時代劇「オトコマエ!」(2008年)だったが、その後、「カラマーゾフの兄弟」「八重の桜」「ガラスの家」「ミス・パイロット」などどれも良かった。彼はもともとサッカー少年で、ボクシングやカポエイラ、合気道など、どちらかといえば「男」指向の格闘技派である。

   その運動部的な一途さのせいか、求められている役割を真摯にこなす姿勢が役の間から見え隠れしていた。そこにはにじみ出る色気もあったし、その結果の「昼顔」のブレイクだったのだろう。そんな真面目な彼だから「セクシー」にも全力で応えてしまった。そしてセクシーが過剰になり脱線してしまったのではないか。

   斎藤工はこれからどうなってゆくのだろう。何かのインタビューで本人も冗談半分に言っていたが、男版の壇蜜のようになってしまうのだろうか。見た目もいいし、演技力は悪くないだけにそれではあまりに惜しい。

   「セクシー」な俳優に「セクシー」な役をやらせたら、「セクシー」ではなくなった。それどころか、コントかソフトAVに見えてきた。フジテレビはそのことに気づいているだろうか。少なくとも、斎藤は気づいていると思う。各種インタビューやバラエティで、自分がセクシーの一点突破で使われていることを危惧する発言を頻繁にしている姿は、「セクシー」にがんじがらめにされているようで痛々しい。

   「今が旬の」と冠を付けられている人に向かっていう言葉でもないが、いくつか映画関連の連載もしているという豊富な知識を生かして、別の活路を見出してほしいと切に願う。(木曜よる10時~)

カモノ・ハシ

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中