「ドローン」どこまでどう規制するか?商業化優先のカナダ、セキュリティー重視のアメリカ

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   千葉・幕張メッセで開かれていた「第1回国際ドローン展」は沸き立った。内外の50の企業・団体が参加し、「10兆円市場」とまでいわれる小型無人機の将来像を競った。ただ、商用、軍用から悪用まで、あらゆる可能性があり、どう規制するかという社会的合意はまだない。

企業サイド「現場知らない法律家に勝手にルールを作られては困る」

   先月(2015年4月)、首相官邸の屋上でみつかったドローンに政府は肝を冷やした。今国会に規制法を提出して成立をはかるが、この間にも落下事故や愉快犯の類いはあとを絶たず、15歳が逮捕されたりしている。コンピューター制御でだれでも簡単に操作ができ、値段も安いから子どもでも買える。

   有用性は論をまたない。先のネパール大地震ではインフラが寸断された山岳部でドローンが大活躍した。火山、土石流など人が近づけないところで威力を発揮する。アメリカではトウモロコシ畑に隠れた犯罪者3人をドローンが一晩中監視し続けて御用にした。商業利用の可能性は無限だ。

   今月17日、東京大大学院の岩田洋佳・准教授は、福島・須賀川の水田でドローンを飛ばした。稲の生育状況を確認する実証実験だ。ドローンは40ヘクタールという広大な水田の状況を10分で記録してしまった。パソコン画面で詳細にチェックし、「異常を感じたら,見にいけばいい」。ちょっと前までは、こんなことはだれも想像しなかった。

   悪用例も相次ぐ。イスラム国(IS)はドローンによって戦闘指揮をしていると映像を公開した。アメリカのホワイトハウスに正体不明のドローンが落下し、飛ばしていた男が逮捕された。テロではなかったが、テロであってもおかしくない。武器や爆薬を積めば大きな脅威だ。

   アトランタで開かれたドローンのイベントでは、政府と企業の間で規制をめぐってはげしいやりとりが展開された。連邦航空局は「目で見える範囲」「日中のみ」「17歳以上で試験制」を主張した。企業側はそれではビジネスにならないと反発し、「現場を知らない法律家に勝手にルールを作られては困る」という発言に大きな拍手がわいた。

企業の使用申請を政府がチェックして個別に許可

   いち早く商業化を認めたのがカナダだ。企業が申請したビジネスの内容を見て、個別に許可を出す。ルールは政府と企業が共同で作った。7年前からヘリ型のドローンでインフラの点検をしている会社は、エネルギー会社、建設会社、カナダ政府を顧客に、順調に業績を拡大している。アメリカが商業利用を許可したら、これまでの蓄積を生かして参入を考えている。

   アメリカはもともと安全面からドローンの商業利用を禁じている。カナダとの違いは安全感の違いらしい。しかし、安全面の確保が見えてくれば、道が開かれると見ている人は多いという。

   鈴木真二・東大大学院教授は「カナダのようなフレキシブルな検討がわが国でも必要ではないか」という。といって、だれだって頭の上を飛ばれるのはゴメンだろう。プライバシーにはどこの国もやかましい。「もっと現実的な使い方を研究する必要があります。離島や僻地、雪国への輸送とか。使いながら技術に磨きをかけていくのがいちばん」と鈴木教授はいう。

   ドローンに限らない。パソコンでもネットでもスマホでもデジカメでも、ルールが普及に追いつかなかった。どころか、悪用の方がはるかに足が早い。技術とはそういうものだろう。どうしても嫌だったら、棒でたたき落としたらいい。番組冒頭、チンパンジーがドローンを叩き落す映像があった。あれはよかったね。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2015年5月21日放送「ドローン 可能性と脅威のはざまで」)

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