2024年 4月 26日 (金)

テニスのラケットにセンサー!?プレー分析してアドバイス―道具・機器が情報発信する「IoT」

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   「IoT(アイオーティー)」をご存知か。「Internet of Things」も変な言葉だが、「モノのインターネット」と直訳されてもわからない。ネットでモノのデータを収集・解析するシステムのことだ。センサーと通信装置の小型化が可能にした。やがては産業の形態や生活を一変させるという。ホントかな?

   たとえば、テニスのラケット。グリップにセンサーがあって、プレーの状態を送信すると、データを解析して指導もしてくれる。庭のスプリンクラーは勝手に天気予報にアクセスして、必要なら水を撒く。家電、住宅、自動車、航空機、道路、信号・・・あらゆるものがデータ発信する、そんな世界らしい。

   大手建材メーカーの実験住宅には天井やカベ、引き出しなど200個ものセンサーがあって、温度、湿度、明るさ、人の動きなどを把握する。トイレの時間が長いと「異常ありませんか」と聞いてくる。答えがないとライトが点滅したり、家族へメールが行く。

   肝心なのはここから先だ。多くの住宅から大量のデータを得ると、理想の家の条件が浮かび上がる。データの解析力が企業の競争力を左右するだけでなく、それ自体がビジネスにもなる。

   大手建設機械メーカーは全世界の40万台の重機にネット接続機能をつけてある。エンジンなどの異常を感知すると保守担当者に連絡がいく。稼働位置や時間を把握して地域によるデータの違いを分析し、販売戦略につなげる。会社の幹部は「最後は人間の動きが効率化され、社会が効率化される」という。

飛行機買うと付いてくる「最適飛行ルート」「省エネ運行」データ

   アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)は自らを「ソフトウエアとデータ分析の会社」といい始めている。主力の航空機エンジンで一番利益を稼ぎ出すのは、売ったあとのデータ分析だ。エンジンの数百ものセンサーからのデータを解析して、効率のいい運行計画を割り出し有料でアドバイスしている。台湾の航空会社はこれで飛行ルートを見直し、大幅な燃料の節約ができた。

「メーカーはデータを収集・分析して顧客に最適な答えを提供する義務があります。正しい戦略を立てた企業が5年後に偉大な勝者になる」(ビル・ ルー副会長)

   東大先端科学技術研究センターの森川博之氏は「これからは『サービス』がキーワードになるでしょう。売ったものを客がどう使っているかをデータで把握して、新しい価値をみつけ、サービスとして製品を提供する時代になったのです」という。

世界標準規格めぐってEUとアメリカが熾烈な主導権争い

   問題は「IoT」の規格化だ。すでに熾烈な戦いが始まっていた。4月(2015年)にドイツで開かれた見本市「ハノーバーメッセ」では、「industrie 4.0」がキーワードだった。「第4の革命」という意味で、メルケル首相は「i4.0をEUが推進すれば、さらなる強さと安定を手にできる」とぶった。 「i4.0」を世界の統一規格にしようという意思表示だった。

   アメリカも負けていない。GEなど大手5社が企業連合を組んでパソコンソフト「ウインドウズ」のような標準化をもくろむ。すでに170社が参加して、毎週2~5社が加わっていると鼻息は荒い。先週、日本で初の推進会議を開いて、日本の大手電機メーカーなど5社が参加した。

   森川氏はこの動きを、「集まる場をつくろうということ。多くの人が使えるプラットフォームは競争力を高めるが、仲間はずれは恐い」という。ただ、「日本の企業は技術力が高く、1社でできる力があるが、集まる場を持っていない。そこが欧米と違う」

   ドイツもアメリカもまだアドバルーン 段階である。日本企業は技術のオープン化はリスクがあるので様子見らしい。何とも日本的だ。効率化でコンピューターが人間に指示を出す未来とはどんなものなの か。チャップリンの「モダンタイムス」みたいなことにならなけりゃいいが。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2015年5月28日放送「新・産業革命?『モノのインターネット』の行方」)

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