死因わからぬ「異状死」7人に1人!大学に解剖医がいない・・・犯罪捜査にも支障

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   日本の年間死亡者数120万人のうち、7分の1の約17万人が死因がわからない「異状死」だ。異状死で犯罪あるいは犯罪かどうか不明なケースは、死因究明のための解剖が必ず行われる。それだけでなく、感染症や食中毒の発見、また遺族が気持ちを整理するためにも死因の解明は重要だという。内閣府死因究明等施策推進室の中澤貴生参事官は「死因究明の一番大切なところは、国民の安全、安心につながるということです」という。

青森県警は秋田や岩手に解剖依頼

   ひとり暮らしの孤独死、突然死など異状死数の増加で解剖件数も増えている。しかし、解剖を主に担っている大学の法医学教員の数はほぼ横ばい。開業医とくらべて収入が3分の1ほどしかないなどで、解剖医はなり手が少なく、解剖医不足になっている。

   青森県の弘前大学は今年(2015年)、2人いた解剖医が同時にいなくなり、募集をかけたが応募がなかった。このため、これまで弘前大学に解剖を依頼していた青森県警は秋田や岩手の大学に遺体を回すといった措置を取らざるを得なくなった。ただ、他県の受け入れ側も余裕がないため、捜査の進展に影響を及ぼす可能性が出てきた。

   大学の解剖医からは死因究明に特化した行政機関の設立を求める声が出ていて、3年前には内閣府を中心に検討会が発足した。厚生労働省、法務省、文部科学省、警察庁などが予算を出し合って死因究明の体制を統括する組織を作る案が検討されたが、「あくまで教育研究に関する部分しか支援はできない」(文科省)など、各省庁それぞれの理由で予算支出に難色を示し、検討は終了してしまった。

   千葉大の岩瀬博太郎・教授は「バラ色の将来を夢見て会議に参加したが、今は逆ですよ。いまのうちにちゃんとしとかないと、(人材不足から)復活するのに時間がかかってしまうのではないか」と危惧している。

NHKクローズアップ現代(2015年6月2日放送「増える『原因不明死』~死因解明が追いつかない~」)

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