EU残留か離脱か―ギリシャ国民投票あさって5日!どちらに転んでもEU経済政治混乱

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   ユーロ圏にとどまるか離脱かの事実上の選択となるギリシャの国民投票が5日(2015年7月)に行なわれる。ギリシャの混乱はなぜ起きたのか。長年にわたった放漫財政が原因だ。選挙のたびに人気取りで年金支給額を増やし、支給年齢を引き下げてきた。失業対策として公務員を増員し、多いときは5人に1人が公務員というありさまだった。このため財政赤字がみるみる拡大し、歴代政権はその実態を隠してきた。

巨額融資残にチプラス政権開き直り「貸した方だって責任ある」

   2009年、実質的な財政破たんが明らかとなり、ギリシャはEU、IMF(国際通貨基金)、ECB(ヨーロッパ中央銀行)に支援を要請する。緊縮策を受け入れることを条件に2010年、12年の2度、総額33兆円の支援を受けた。

   その緊縮策は甘くはなかった。61歳で退職し年金生活に入った元病院職員の夫婦は、月額52万円の年金を受け悠々自適の生活を送っていたが、緊縮策で年金は半額以下の25万円に減らされた。「これ以上年金が減額になれば死んでしまいます。薬も満足に買えません」 夫婦2人で月25万円の年金暮らしで「死んでしまう」はオーバーだが、こうした声を受けてユーロ圏側の緊縮策に反対するチプラス政権が今年1月(2015年)に誕生した。チプラス首相は「破滅をもたらした緊縮策を無効にする」と叫んで見直しを求め、6月末には新たな改革案を提出した。

   市場はギリシャの債務問題が解決に向かうのではと期待感が広がり、株価が上昇したが、チプラス政権の思い通りにならなかった。ユーロ圏側が年金の支給開始年齢の引き上げなど一層厳しい修正を要求したのだ。

   これにギリシャ市民は猛反発し緊縮策反対のデモが起き、この世論を追い風にチプラス首相が打ち出した一手が国民投票だった。修正案を拒否されたユーロ圏財務相会議のダイセルブルーム議長は「交渉をこれ以上続けることはできない」とギリシャ支援を打ち切る方針を決めた。

国民6~7割「緊縮策賛成・EU残留支持」

   「妥協か、決裂か。両方の立ち位置はどういう状況だったのでしょうか」と国谷裕子キャスターがニッセイ基礎研究所の伊藤さゆり上席研究員に聞いた。「資料で見ると、緊縮策を実現するためのアプローチ、理念の違いが大きい対立点だったようです。年金改革のスピードで支援者側はより速くということだったが、その裏側にある財源をどう捻出するかという理念の違いがうかがえます。

   というのも、ユーロ圏側は広く薄く公平に分担したほうが経済成長のためになるという理念で修正案を提案したのに対し、ギリシャ側が提案した新たな改革案は、弱者に負担を求めるからには、それ以上の負担を企業に求め、法人税をユーロ圏が提示した28%より高い29%にアップし、期間を1年に限定した特別法人税を創設するというものだったのです」

   世界経済を左右しかねないという見方が出ているなか、国民投票の行方はどうか。伊藤上席研究員は「イエスの割合が高く、6~7割がユーロ残留を望んでいると言われます。ただ、態度を決めていない浮動票もあり、人気のあるチプラス首相は『イエスが過半であれば辞任する』と述べており、辞めてほしくないと思う人がノーに結びつく可能性もあり、予断を許さない状況ですね」という。

   国民投票の結果、EU離脱ということになれば、週明けの市場はどう動くか。ユーロ安、円高、株安になる可能性は高いとみられている。

NHKクローズアップ現代(2015年7月1日放送「緊迫ギリシャ 危機は避けられるか」

モンブラン

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