アメリカFRB「金利引き上げ」ひとまず見送り!米中ダブルショック回避

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   アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は17日(2015年9月)、実質的なゼロ金利政策の維持を決めた。イエレン議長は来月末も含めて、利上げは検討していくとした。

   デトロイト近郊のオハイオ州トリード市は活気にあふれていた。再開した部品工場の経営者は「1年後には仕事の量も売り上げも倍、従業員も倍にする」と鼻息は荒い。市の失業率も13.8%から5%に改善した。アメリカの景気回復は、見たところ本物らしい。

   リーマン・ショック後、GM、クライスラーが破綻し、アメリカの自動車産業はどん底に落ちた。オバマ大統領は10兆円近い公的資金を投入し、金融緩和も自動車販売を後押しして、ついに経済の好循環を生み出し、消費者の購買力回復にまでこぎ着けた。

   かつて4万社以上が消えたシリコンバレーで先週末に開かれた就職イベントでは、企業が競って若者をリクルートしていた。「人材が必要。いろんな経験を持った人がほしい」(フェイスブック)。プログラマー養成専門学校卒業生は引く手あまたという。新ビジネスも生まれて、この1年で9万人の雇用が生まれたといわれる。「学校が1000校あっても足りない」

G20も懸念「各国経済への打撃大きい。利上げは慎重に」

   FRBの利上げの判断基準のひとつが失業率だ。先月の失業率は5.1%と、09年の半分になった。利上げの目安に達した。製造業の雇用は1200万人を超えた。GDPの伸び、個人消費、設備投資も堅調な回復を示す。利上げはまさにカウントダウンといっていい。

   だが、懸念材料はある。ひとつは中国経済の減速だ。リーマン・ショック後、世界経済を引っ張って来たのは米中2つのロケットだった。その片方が減速して、米国の利上げ観測も強まって8月に世界同時株安が起こった。「米国の力は本物かと市場が疑った結果だ」と第一生命経済研究所の熊野英生氏はいう。

   利上げはまた景気を冷しかねない。いまバブルにある不動産や好調な自動車でローンの返済への影響もある。FRBが利上げに慎重なのも、このあたりが見 極められないからだと熊野氏はいう。

   もうひとつ、新興国への深刻な影響がある。米国の利上げによって、新興国への投資資金がアメリカに逆流すると、通貨の下落と経済の低迷は間違いない。5日にイスタンブールで開かれたG20(財務相中央銀行総裁会議)は、米国に「利上げには慎重を」とする声明を出した。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は「利上げにあたっては、物価や雇用が不確かであってはいけない」とけん制した。

   トルコでは今年に入ってリラが30%近く下落した。物価上昇は深刻だ。財界関係者は「アメリカの利上げのうわさだけで影響する。外国資金は突然去っていく」という。ブラジル、インドネシア、南アフリカでも深刻な影響が出ている。

日本経済への影響「アベノミクス崩壊」

   日本にも影響は及ぶ。新興国の景気悪化と、それがアメリカ経済の足を引っ張る可能性を考えると、輸出で成り立っている日本は二重に影響を受ける可能性がある。円安もどこまで続くか不確かだ。熊野氏は「アベノミクスの成長戦略を考えないといけない。大胆な規制緩和が必要」という。

   同じゼロ金利でやってきたのに、アメリカだけがなぜ抜け出したのか。円安は輸出企業を救ったが、大方は輸入品の値上がりに苦しんでいる。僥倖ともいえる原油安がなかったらどうなっていたか。経済政策に正解なんかないとわかっていても、振り回されるのは愉快ではない。

ヤンヤン

*NHKクローズアップ現代(2015年9月17日放送「アメリカ利上げ~そのとき世界、日本は...~」

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