大村智教授に毎日弁当届けた妻・文子さん「一緒にスウェーデン行きたかった」16年前に死去

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   今年のノーベル賞・医学生理学賞に大村智・北里大特別栄誉教授(80)が選ばれた。大村さんは同時受賞の米ドリュー大のウイリアム・キャンベル氏(85)とともに、微生物の研究からアフリカの寄生虫病の特効薬開発を導いた功績だ。もう1人の中国の研究者、屠ユウユウ氏(84)は漢方の研究からマラリア治療で功績を上げた。今年のテーマは熱帯にあったようだ。

アメリカ留学中も「和食じゃないとダメ」

   大村さんはアフリカや中南米など熱帯地方の寄生虫病「河川盲目症(オンコセルカ症)」の駆除薬「イベルメクチン」をキャンベルさんと開発した。1974年に静岡県伊東市のゴルフ場近くの土から見つけた細菌を共同研究をしていた製薬会社メルクに送り、キャンベルさんが効果を確認してイベルメクチンを開発した。失明を防ぐ効果から3億人を救ったとされる。

   5日夜(2015年10月)に会見した大村さんは、「私の仕事は微生物の力を借りているだけのもの。私自身がえらいことを考えたわけではない」と謙虚だったが、真っ先に伝えたのは16年前になくなった妻の文子さんだったという。「一緒に(スウェーデンへ)行こうなといっていた」というから、まんざら予感がなかったわけでもないようだ。

   たしかに受賞歴がすごい。日本学士院賞(90年)、ロベルト・コッホ賞(97年)、文化功労賞(12年)、カナダ・ガードナー国際保健賞(14年)・・・。ガードナー賞は「次はノーベル賞」といわれる賞だ。

   大村さんは山梨・韮崎の農家に生まれ、高校・大学時代はクロスカントリー・スキーで国体に出るほどだったが、山梨大を出て東京・墨田工業高校定時制の教師になった。仕事を終えてから登校し、油だらけの手のまま勉強する生徒たちの姿に、「もっと勉強しなきゃ」と東京理科大大学院に進み、のちに北里大で研究者の道に入った。

   36歳のときにアメリカに留学したが、和食でないとだめで、妻の文子さんが毎日弁当を届けていたという。会見で「残念だねえ」といったのも、文子さんに伝えられない無念の思いからだった。

特許料などで美術館を寄贈―「気取らず鑑賞」と隣に温泉とそば店

   イベルメクチンの開発は帰国後、研究費の確保のため製薬会社を回っているなかから生まれた。はじめは寄生虫薬として家畜用に広く使われ、特許料など200億円以上は北里研究所に入れた。北里大の白金キャンパスには、盲目の人を杖で先導するアフリカの少年の像がある。大村さんの功績を称えてアフリカの彫刻家がつくったものだという。

   大村さんは美術品の収集家としても知られ、5億円ともいわれる絵画などを収蔵する「韮崎大村美術館」を07年に韮崎市に寄贈した。「気取らず美術鑑賞を」と、横に温泉とそば店も開いた。郷土が生んだ飾らない英雄だ。

   大村さんの功績について、科学ジャーナリストの寺門和夫さんは「イベルメクチンは抗生物質だが、見つけるのが大変。あちこちで土をとっては分析・培養を繰り返して、40年前に見つけた。それが寄生虫の特効薬になっているのです」と話す。

   寺門氏が大村さんの言葉を紹介した。「人のために役立つことをたえず考えて来た」。これは祖母の教えだという。もうひとつ、「私は××をしない。××をしたらそこで終わりというのもあります。さて何でしょうか」

   沢松奈生子(元プロテニスプレーヤー)「パクリ?」

   寺門氏「はい。研究は独創性です。とくに新しい事をするには」

   いや、研究に限らないよ、それは。

文   ヤンヤン
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