楽天「電力ビジネスに革命を起こしたい」小売り自由化で虎視眈々!電気料金ポイント付加や電源選択制

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   来年4月(2016年)から電力の小売りが全面自由化される。大手電力会社の独占に新規参入が挑めば、電気料金の値下げやサービス競争が期待できる。開放される市場の規模は8兆1000億円というから、新旧のせめぎ合いも過熱しよう。

   新規参入には、大手ガス、石油元売り、通信大手、鉄道など80社以上が名乗りを上げている。ネット通販の「楽天」の三木谷浩史社長は「のべ1億人の会員と顧客企業を活用して電力ビジネスに革命を起こしたい」という。楽天には通販のほか、旅行、通信、保険など80ものサービスがあり、その顧客が1億人だ。

   すでに自由化されている企業向け送配電では安い電力を提供している。複数の会社の発電所から安い電気を調達するのだ。工場向けの発電所は休日に電力 が余る。曜日や時間帯ごとに細かく調達先を切り替えることで、八ヶ岳のホテルは電気料金を7%削減できた。

   家庭向けの販売では、楽天お得意のポイント付与で顧客にアピールする戦略もある。再生可能エネルギーを支持する消費者へは太陽光発電所を持つ丸紅と提携。さらに、落差わずか40メートルというコンパクトな水力発電所を5年後に全国30か所に作りたいとしている。

腰が低くなった大手電力!必死の契約者囲い込み

   迎え撃つ大手も手をこまぬいているわけではない。東京電力はこれまで外部委託だった安全点検に社員を出している。各戸を訪問して電力自由化も説明し、ナマの要望を聞く。「昔はふんぞり返って『売ってやる』という雰囲気だったけど、大分腰 が低くなった」と消費者に好評だ。

   コスト削減にも取り組む。2年ごとの火力発電所の点検では1日1億円かかる。自由化のもとでは、これをこれまでのように料金にそっくり上乗せとはいかな い。この日数をいかに短くするかで、ムダの削減に実績のあるトヨタ自動車の元常務を 招いた。数百もある点検項目を一つひとつ見直した結果、常陸那珂発電所では80日を50日に短縮し、50億円を削減できた。「1分1秒がコストダウンにつながる。自由化の競争をのりきらないと」という。あの東電が変われば変わるものだ。

   東京大社会科学研究所の松村敏弘教授は「自由化に期待している」という。企業向けの自由化から10年以上経っても新規参入者のシェアは5%に満たず、大手はコスト削減意識が乏しかった。しかし、小売り分野での新規参入によって、大手も変わらざるを得なくなると見る。

自治体が目指す電力の「地産地消」

   しかし、新規参入者で発電できるところは多くない。大手から買わないといけないが、大丈夫なのか。安くなるのか。松村教授は「大手から合理的に売り渡されることが重要になります。これについては、9月(2015年)にできた監視機関が役割を果たすことになります」という。また、平成32年に予定されている発送電の分離でより公平な売り渡し、送電が期待できるという。大手が地域 をまたいで競争を始めると、事態は大きく変わると期待しているのだ。

   その新規参入で面白い試みがあった。人口4万人の福岡・みやま市は3月に電力会社「みやまスマートエネルギー」を立ち上げた。目指すのは「地域で使う電力を地域で賄う」こと。ここ数年、市内に相次いで建設された太陽光発電所と家庭用発電パネル(設置率1割)の電力を集めて販売する。電気の地産地消だ。

   アイデアのきっかけは東日本大震災だった。大規模災害が起きたときでも大手に頼らず電力を確保したいと考えた。自治体のサービスとしても活用する。 販売先で意識しているのはお年寄りだ。1人暮らしの人の電気の使い方で異変を察知すると、家族に連絡が行く。将来は防災にもサービスを広げ、市民の4割の利用を目指している。

   松村教授によると、地産地消は現在は制度的に不利なため望ましい水準まで普及していないが、制度が改善されれば「シェアが3割、4割になっても驚かない」

   いい話だ。みやま市の担当者の言葉がまたよかった。「郷土を見直すいいきっかけにもなるし、みやま市でできたのならと、他の自治体にも風が吹けばいい」

   夜間の不足は九州電力から調達するそうだが、こうした風が九州各地で吹けば、川内原発は間違いなくいらなくなる。

*NHKクローズアップ現代(2015年10月15日放送「電気料金は安くなるか?~消費者が選ぶ時代へ~」)

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