「フィンテック革命」銀行不要時代!お金借りたい人・貸したい人ネットでマッチング

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   フィンテック革命という言葉を聞いたことはあるだろうか。金融を意味する「ファイナンス」と技術を意味する「テクノロジー」を組み合わせた造語だ。国谷裕子キャスターがこう説明する。「送金や決済、融資といった金融サービスができるのは豊富な資金とシステムを持つ大手金融機関に限られてきましたが、IT企業が銀行に代わって金融を担う時代が始まっています」

   フィンテック先進国・アメリカのあるコンサルティング会社の試算によると、フィンテックの登場で、銀行の利益のうち「決済」分野で35%、「中小企業向けの融資」分野で35%、「資産管理・運用」分野で30%、「住宅ローン」で20%が奪われていくという。

ネットに必要資金・経営情報を入力し出資者募集

   アメリカのジミー・スタンドリーさんはこれまでネット経由でオリジナルの自転車を販売してきたが、事業拡大のため店舗も持とうと考え、銀行に融資を求めた。「10以上の銀行に融資を掛け合いました。苦労して手続きを進めたのですが、結局、融資はしてもらえませんでした」

   そこでスタンドリーさんがたどり着いたのが「ファンディング・サークル」というネットのサイトだった。借りたい金額のほか、事業内容、売り上げなど必要な情報を入力すると、銀行より金利は高いものの、およそ3000万円の融資を受けることができた。

   なぜ資金を借りることができたのか。サイトを運営する会社によると、「資金を借りたい人」と「資金を貸したい人」をインターネットで仲介するのだという。融資の申し込みを受けると経営状態を5段階で格付けし、それによって金利を5~22%に設定する。「貸したい人」はその格付けをホームページで確認し、共感できる企業に融資する。リスクはあるが、高い利回りの期待できるのだ。すでにこのサイトの融資は1800億円以上に上るという。

   こうした動きに、IT業界を代表する人物も乗り出してきた。世界で3億人以上が利用しているといわれる「ツイッター」の創業者、ジャック・ドーシーさんだ。リーマンショックの翌年、新たな会社「スクエア」を立ち上げた。「金融サービスの分野では、目の前に広大な『空き地』が広がっているのです」

   まず手掛けたのが独自の決済システムだ。新たに開発した機器をスマホなどの端末に取り付けるだけでクレジットカードが利用できるようにした。どこででも利用できるため、小さな店からの人気を集め、およそ200万の事業者が利用するようになった。

   同時に、利用事業者のデータも集めて業績も把握した。ニコラス・チョーさんが経営するコーヒーショップは、突然、スクエアから「400万円なら融資できる」という知らせが届いた。ニコラスさんは即座に申し込み、翌日にはおよそ400万円が振り込まれた。

「これまでのビジネスモデルではやっていけなくなる」危機感いっぱいの銀行

   フィンテックの急拡大に銀行などの既存の金融機関の危機感は強い。サンフランシスコ連邦準備銀行のマーク・ゴールド副総裁は、「現在、われわれが目にしている技術革新の中には、金融のあり方を破壊しかねないものもあります」という。日本も同様で、りそなホールディングスの東和浩社長もこう言う。「新しいフィンテックの企業にはまったく違う消費者からの目線も入ってます。これまでのような銀行というビジネスモデルをひょっとすると捨てていかなければいけないかもしれません」

   国谷「開発スピードの早いフィンテックに日本の銀行は勝てますか」

   金融が専門で、フィンテックに関する国の検討会のメンバーでもある日本総合研究所副理事長の翁百合さんはこう見る。「銀行業は装置産業で、人もたくさん雇っているので、身軽なベンチャー企業と比べるとコストの面では相当の違いがあります。そういう意味で、特定の分野ではIT企業に勝てない部分というのはかなりあると思います。フェース・ツー・フェースが持ち味の金融業らしいサービスは何なのか。フィンテックへの対応も重要ですが、銀行ならではサービスを利用者の目線に立って本格的に考えなければならない時期に来たのだと思います」

   りそなホールディングスがいま取り組んでいるのは、顧客のニ-ズをフィンテックよりも先取りして、融資を提案するサービスだ。

ビレッジマン

*NHKクローズアップ現代(2016年2月8日放送「ITが変える『お金の未来』~フィンテック革命の衝撃~)

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