パックリ口を開けてる石油安地獄!産油国「財政赤字」、米国「シェール倒産ラッシュ」、日本「金融不安」・・・

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   原油先物価格はこの1年半に7割も下落した。「原油安自体は輸入に頼っている日本にはプラスですが、原油輸出に頼っている国に深刻な影響を与え、世界の金融市場を不安定化するリスクが懸念されています」と国谷裕子キャスターが伝える。

金融緩和バブル破裂

   大幅な価格低下の原因は金融緩和で投機マネーが逃げ出したからだ。世界のエネルギー・金融に詳しい藤和彦・世界平和研究所主任研究員はこう解説する。「リーマンショック後の金融緩和で、非常に大量の安いお金がマーケットに流れこみ、投資家は株や債券だけでは使い切れずに、原油先物市場にも目を付けました。そこで一気に市場規模が膨らんだのですが、2014年の半ばあたりにFRB(米国連邦準備制度)が量的緩和を終了し、安いお金が入ってこなくなるという見方が強まって、一気に市場からお金が抜け出してしまったんです。それによって、油価が7割も下がるという現象が起きたと思います」

   また産油国が協調して減産体制を取れないでいることも価格低迷の要因だという。「本来なら、協調して減産すればメリットがあるのですが、自分が減産すると周りの国が得をするのではないかという恐怖心があるんです」「あすはさらに下がるかもしれないと思えば、あすの100よりもきょうの50とばかり、少しでも収入を得たいという心理が広がっているのです」(藤研究員)

   輸出の9割以上を原油に頼ってきたベネズエラでは、インフレやモノ不足が発生。世界第3位の産油国で、国家歳入の半分近くを石油などのエネルギーに依存するロシアでは8000億円規模の歳出削減を打ち出した。サウジアラビアは2016年は10兆円の財政赤字になる見通しで、水道代や電気料金の値上げや増税を行った。

   世界中に投資されていた巨額のオイルマネーも引き上げられているようだ。イギリス・ロンドンでは1億6000万円以上する住宅が次々と売りに出されるなど、高級不動産の価格が下落している。英調査会社「キャピタルエコノミクス」は「彼らはいま資産の売却を行っています。原油安によって、投資が大幅に削減され、かなりの悪影響が出ている」と話す。

アメリカ3月危機説

   アメリカでは原油安によってシェール企業の採算が悪化し、業界では「3月危機」がささやかれている。金融機関が3月に融資枠の見直しに踏み切るのを機に、破綻が相次ぐのではないかという。

   「すでに倒産や従業員の解雇などが起きているが、3月がひとつの転換点だ。業界は間違いなく、窮地にあります」(シェールオイル開発企業社長)

   シェール開発企業は高い利回りを謳う債券を発行したり、銀行から高金利の融資を受けるなどしており、その額は100兆円を超えるとの推計もある。「アメリカにシェール企業は4000以上あると言われています。その3分の1が経営破綻するのではないかというレポートが最近相次いでいて、そうなると、かなり大きなインパクトがあります。シェール企業が調達したお金が100兆円だとすると、そのうちの3分の1、30兆円以上のお金が消えるわけです。投資家に大きな損失を与えることになります」(藤研究員)

   シェール企業の大量倒産を引き金に、リーマンショックのような事態が起きることも考えられるという。

*NHKクローズアップ現代(2016年2月23日放送「原油安が止まらない!?~世界を揺るがすリスク~」)

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