2024年 5月 18日 (土)

<いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう>(フジテレビ系)
健気で哀しい高良健吾・有村架純「一億総貧困」に突き落とされる若者群像

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被害者がさらに落ちて加害者に・・・「ブラック」のスパイラルおぞましい

   練の働く運送会社のブラックぶりもリアルだ。その中でも、いい加減な仕事をしては練に責任を押し付け、何かにつけて練をいじめる先輩・佐引(高橋一生)が秀逸。屈折した自分にとって、練の純粋さがまぶしいゆえにいじめたくなる。でも、知らず知らずその純粋さに影響されていく自分がうれしくもある、という役どころがぴったり。

   また、5年後、練が働く労働者派遣会社、その名も「スマートリクルーティング」(!)では、街角やネットカフェで行き場のない若者を見つけては「いい仕事があるよ」とだまして時給300円で働かせている。ブラックというより、もはや暗黒だ。被害者だった若者がさらに落ちて加害者に転じてゆくという、麻薬・覚せい剤業界にも似た図式が描かれる。

   音が働く老人介護施設の過酷さも、多分リサーチによって実態を反映しているのだろう。人手不足なのに、音たち現場の介護者は正社員じゃないので、いつも「契約更新なし」の通告におびえていなければならない理不尽さ。

   救いは、庭のある古い家に一人で住む老婦人・静恵(八千草薫)である。花や犬の世話をしてもらうということで、若者たちに自由に出入りを許している。若者たちにとっては、普通に家に帰るみたいに帰って、ご飯を食べたりできる憩いの場となっている。一人住まいは不用心だからと警戒して閉じこもる人が実際には多いのだろうが、本当にこんな風に私心なく開かれた家があったらいいのに、と思う。(月曜日よる9時~)

(カモノ・ハシ)

文   カモノ・ハシ
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