2024年 4月 28日 (日)

経済再興で中国政府が打つ大バクチ!ゾンビ企業潰しと農民移住・・・失業拡大と農業離れ

中間層増やして消費経済へ移行

   もう一つの課題の輸出中心から消費中心経済への移行は、社会構造の改革でもある。2年前打ち出した「新型都市化政策」は、都市と農村の中間の200万人規模の都市を各地に作って農民を移住させ、戸籍の格差もなくして、企業で働く中間層の消費拡大を期待するものだ。

   昨年3月の全人代で、李克強首相は農村消費の拡大に「インターネット整備」を打ち出した。「農村の億単位の潜在力を経済の牽引力に」という構想で、急ピッチで「人工都市」が作られている。

   江西省玉山県の人口1500人の農村。商店はなく、買い物には町まで車で2時間。ここに政府支援でネット通販会社の代理店ができた。店に商品はなく、通販商品が見える大型スクリーンとネット端末があるだけだ。若い男性店員が客に代わって注文をさばく。

   子供を抱いたお母さんが「日本製のオムツが欲しいんだけど」という。別の女性はコートの色や形を品定めしている。クレジットも銀行口座もないが、現金を店員に払う。品物は後で届く。「ネットはわからないけど、便利になった。いつでも買える」とお母さんが笑っていた。

   新型都市の建設が進む内陸の貴州省では、農民が移住するビル群が形になっていた。青写真では病院もできる、幼稚園から大学までの一貫教育も整う。2年間で町の人口は70万人になっていた。電子機器メーカーもできて、300人が働いていた。これまでに生まれた雇用は1万2000人、2030年には人口200万人にする計画である。同じ構想の都市は全 国130か所余もあり、各地で有望企業の奪い合いが起こっている。

   移住させられる農民の不安は尽きない。50代の夫婦は「村で暮らしたいが、政府には従わないと」という。農業しか知らない夫婦に仕事は見つかるのか。「企業が欲しいのは若者。年寄りに仕事はない」

   柯氏「都市戸籍で社会保障の格差は縮まるでしょうが、仕事が見つかるかどうか。また、農業から製造業の給料取りになるのがいいのかどうか。農業は近代化が必要で、やめると将来、食糧危機になりかねません」

   中国の農村人口は6億人だ。その3分の1が中間層になっただけで、中程度の国が一つできたくらいのエネルギーと食糧が必要になるだろう。空恐ろしい実験に見え。

*NHKクローズアップ現代(2016年3月3日放送「『新たな成長』は実現できるか~中国経済の行方~」)

ヤンヤン

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