2024年 4月 26日 (金)

都知事選『泡沫候補』上杉隆の見過すには惜しい政策!五輪むだ使いストップや横田基地軍民共用

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   まず都知事選の話から。きょう14日(2016年7月)の告示で19人が立候補した。先出しジャンケンの小池百合子氏、自公などが推薦する増田寛也氏、民進、共産、社民、生活の党と山本太郎となかまたちの4党が推薦する鳥越俊太郎氏の争いと見られているようだ。

   ジャーナリストの上杉隆氏は今週発売の週刊ポストで華々しく出馬宣言したが、私が見ている限り「泡沫候補」扱いのようである。可哀相に。だが、他の有力候補が明確な政策を掲げられていないのに、上杉氏は五輪組織委員会の白紙改編と森喜朗会長の「名誉ある勇退」。本来、東京都に入るはずの税金が年間約3200億円も地方に奪われているが、その税金を取り戻し待機児童問題解消など都民のために使う。東京五輪のむだ遣いをやめて当初案の4500億円(現在は2兆円)に戻す。横田基地の軍民共用化をと具体的である。

   彼の基本的な考え方は、「石原都政の2期目に戻る」ということのようであるが、その是非も含めて、論議を深めてもらいたい。

   今週の週刊誌は参議院選の結果を入れ込みたいという「思惑」でそれぞれが発売日を工夫してきた。週刊ポストはいつも通り月曜日発売だが、参院選は改憲勢力で3分の2をとると予想して、参院選後に安倍首相が憲法改正に踏み出すのかに焦点を当てて特集を組んでいる。見事的中したわけだが、週刊新潮は水曜日発売で、今回の参院選を「我ら凡俗の審判」と総括している。冒頭、安倍首相は「経済の再生を旗印にしていたのに、株価は低迷、為替は円高、アベノミクスもどこへやら、とても選挙を戦える状況になかった」はずが、蓋を開ければ改憲勢力で3分の2を占める圧勝劇だった。私を含め、多くの有権者たちはこの結果に当惑し、どこの誰がこんな審判を下したのかと天を仰ぐばかりである。

   不可解なのは週刊現代である。水曜日発売にしたのだから参院選について特集を組んでいるだろうと思ったら、コラムでわずかに触れただけであった。今度の参院選の結果は、私など「おきゃあがれ!」とテレビを蹴飛ばそうと思ったぐらいだが、週刊現代はそうした怒りも、これから起こるであろう憲法改悪への流れに対する危惧もないと見える。相変わらず「その手術、この薬が危ない」の第7弾を延々とやっているだけでは、ジャ-ナリズムの看板は外したほうがいい。

   おまけに、都知事選挙で誰が当選するかという予測記事には鳥越氏の名前が入っていない。締め切りに間に合わなかったというのは分かるが、週刊ポストに比べて読みが甘い。または情勢が動いていたので扱うべきではなかったのではないか。さらに、週刊文春(木曜日発売)から「週刊現代の医療記事はねつ造だ!」とまで批判されているのだから、なにをか況んやである。

鳥越俊太郎「76歳とがん」まあ心配ないが、多少気になるあのこと・・・

   私事で恐縮だが、週刊文春の鳥越候補についての記事について書いてみたい。石田純一氏、宇都宮健児氏、古賀茂明氏と野党候補が次々に現れては消えていって、ギリギリで鳥越氏に決まったのは7月12日(火)だった。その日の夕方、週刊文春の記者から電話がかかってきた。「鳥越さんについて聞かせてくれ」というのである。

   鳥越氏がどんな政策を持って出馬するのかも知らないし、だいぶ彼とは会っていないので語ることはないのだが、「鳥越さんの体調はどうなんでしょうね」という世間話のような話なので、がんをやってから10年以上経つから大丈夫ではないか、ただ年齢が76歳なので、選挙戦もそうだが、もし知事に当選したら大変ではないかという当たり障りのないことを答えて電話を切った。

   こんな他愛もない話など載るはずはないと思っていたが載っているではないか。それも、鳥越氏と「交流の深い」とついている。テレ朝の「ザ・スクープ」を打ち切りになるとき、反対集会やテレ朝の早河洋氏に中止撤回の申し入れに行ったことはある。

   彼が編集長として始めた韓国系インターネットメディア「オーマイニュース」に、彼の体調が悪いからと頼まれて編集長(最後は社長)になったこともある。07年の都知事選のとき、石原慎太郎の3選を阻止しようという陣営から、出馬してくれないかという話があったが、身体の問題でカミさんが許さないからやめたという話を聞いたことはある。だが、「オーマイニュース」を離れて以来会うこともなくなった。

   週刊文春が私に連絡してきたというのは、よほど聞く人がいなかったからだろうか。鳥越氏はうらやましいほどのフサフサの髪とルックス、滑舌のいい魅力的な人である。がんや76歳という年齢のことはそれほど心配はしていない。鳥越氏の名前を一躍知らしめたサンデー毎日編集長のときの「宇野宗佑総理三つ指事件」で、宇野氏を告発した元神楽坂芸妓との行き違いが多少気になってはいるのだが、これ以上はやめておこう。

「改憲勢力3分の2」に追い詰められる安倍首相!改正発議せっつかれて自爆

   参議院選報道で笑えたのは週刊新潮のモノクログラビアである。早々と当選を決めた沖縄出身の今井絵理子氏が池上彰氏の選挙特番で、「選挙中、沖縄のことに触れなかった」と聞かれ、12歳から東京に住んでいるので沖縄の現状はよく知らないと答え失笑を買った。

   その彼女の息子が「お母さんが当選しますように」と書いた絵馬を手渡したとき、「子どもが書いて下さった」といってまた失笑。週刊新潮はキャプションを「お母さんがもっと勉強しますように」とつけた。見事である。

   参院選を大勝して史上最強といえる政権を思うがままに操れることになった安倍首相だが、このまま憲法改正へと突き進んでいけるのだろうか。安倍首相は選挙直後に「次の国会から憲法調査会を動かす」と明言した。これまでは絵空事だった改憲に手が届くところまで来たのである。「おじいちゃん(岸信介)、ボクやったよ」と仏壇に手を合わせたかもしれない。

   だが、今回の参院選大勝は安倍政権の終わりの始まりだと私は思う。週刊ポストでジャーナリストの山口敬之はこう書いている。第二次安倍政権が、特定秘密保護法、原発再稼働、安全保障法制といった難しい課題を次々と突破できた原動力は、安倍が「サイレント・マジョリティ」と呼ぶ「非リベラル層」によるところが大きかったが、一口に改憲勢力といってもその内容から方法論に至るまで千差万別、百家争鳴である。

   <3分の2という遠かったはずの目標が目の前まで来た安倍にとって、憲法改正はもはや、リベラル護憲派との戦いではなくなりつつある。いわゆる『改憲勢力』内部の不統一にこそ、最も深刻なリスクが内在している。

   さらに、衆参両院で憲法改正の発議を勝ち得た先には、国民投票という最後の難関が控えている。安倍は消費税先送りと衆議院解散の是非を巡って麻生と対峙した5月30日、こう漏らしたという。

   「憲法改正はもちろん悲願だが、どう実現できるか、心が揺れないと言ったら嘘になる」 もし安倍が憲法改正に向けて逡巡したり、決断を先送りしたりすれば、今度は「非リベラル層」の中の「保守層」が黙っていない。

   安倍を強く支持してきたコア層の失望は、政権の求心力を大きく毀損するだろう>(山口氏)

   保守といってもさまざまである。いま話題の「日本会議」は<西洋の植民地主義から東アジアを開放した日本を称え、再軍備をし、生徒たちに愛国心を植え付け、天皇を敬え>(英国「エコノミスト」)というウルトラ保守派である。さらに憲法改正発議にまで何とか漕ぎ着けたとしても、国民投票になれば国論を二分することになる。そうなれば英国のEU離脱のように、投票後にさまざまな遺恨が残り、憲法改正どころか自分が総理の座から降りざるを得なくなるはずである。

   もちろん週刊新潮がいっているように「お試し改憲」という姑息な手を安倍が使ってくることも考えられる。<「国民的合意の得られていない9条改正はとても無理でしょうから、環境権や緊急事態条項を加えるといった、多くの人が反対しないであろう『つまみ食い改憲』から手を付けることになると思います」(政治アナリストの伊藤惇夫氏)>

   公明党は改憲には及び腰だが、加憲には賛成するといわれているから乗ってくる可能性はある。週刊新潮は最短は来年秋の臨時国会で憲法改正の発議をして、年末に国民投票と衆院を解散して信を問うという「奇策」に打って出るかもしれないと見る。

   しかし、安倍の悲願である9条改正には至らず、後継を指名して引退後に夢を果たすというシナリオがあるというのである。だが、田中角栄のような大派閥を率いているわけではない安倍が、引退後に院政を敷けるわけはない。中途半端な憲法改正は、先ほど触れた思惑がバラバラの保守層からも強い批判を浴びることであろう。

   どちらにしても、勝つ理由のほとんどない選挙で大勝してしまった安倍首相は、憲法改正というルビコン川を渡りきらないうちに沈没することになると、私はゆったりした気持ちでこれからの政局を眺めたいと思っている。

週刊文春にケンカ売られた週刊現代!「医療記事ねつ造」批判にどうこたえるか

   週刊現代が「国民的大反響」と今週で7弾になる手術や薬の危険性に警鐘を鳴らす特集に、週刊文春が「現代の医療記事はねつ造だ」とケンカを売った。ねつ造とまでいわれては週刊現代側も次の号あたりで反論するだろうが、週刊文春のいい分はこうである。

   <「週刊現代」がこうした大特集を続け、大きな反響があるのも、世の中に根強い医療不信があるからだろう。ただ、ずさんな取材に基づく記事では何も解決しない。

   実際に、読者や患者が最も知りたいことは、薬の副作用ばかりではなく、本当の正しい薬の「飲み方」と「やめ方」ではないか>

   統合失調症に詳しいたかぎクリニック院長・高木俊介医師もこう話す。<「抗精神病薬に突然死などのリスクがあるのは事実です。しかし急に薬をやめると激しく再発することがあり、より悪化するケースもあります。(中略)

   副作用のリスクに警鐘を鳴らすのはよいのですが、薬をやめるリスクや、やめ方についても丁寧に書かないと、患者さんの人生を台無しにする恐れがあるのです」>

   取材された医師がこんなこと話してはいないと怒っているケースもあるようだ。ここでも何度かいっているが、危険だ危険だといいっ放しでは、いたずらに患者を惑わせるだけになってしまわないか。たとえば、今週の特集の中に「医師20人に聞きました『内視鏡・腹腔鏡手術』は本当に安全ですか」というのがある。

   「なるべくやめたほうがいい」「やってはいけない」などの意見があるが、大学病院、民間病院、開業医とあるだけで、病院名はもちろん医者の名前もない。これでは読者を困惑せるだけにならないか。

   編集部の意図に合うようにコメントを操作しているとは思わないが、<「医療記事は、生命に関わるテーマで、データが正確か、科学的論拠に拠った適正な内容かといった点が非常に重要。医師をはじめとする専門家のチェックを経た上で記事を掲載すべき」(上智大学の田島泰彦教授)>という考え方も参考にすべきだろう。

   もちろん医者によってそれぞれ考え方が違うこともある。どうしたら記事のクレディビリティを担保できるのか、週刊現代編集部は熟考すべきではないか。そうでないと、せっかく探し当てた宝の山が、同誌の信用を落とす結果になるやもしれない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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