2024年 5月 3日 (金)

「大口病院患者連続殺人」内部犯行わかってるのになぜ捕まらぬ?カメラ映像も目撃情報もなし

   横浜市内の大口病院で男性2人が中毒死した事件が発覚し半月が経過した。今までのところ犯人に結び付く有力な新事実は見つかっていないが、亡くなった2人が入院していた同じ4階病室で、点滴を受けていた患者が1度に6人も亡くなった日があったという。神奈川県警は病院内部に詳しい人物による犯行の可能性が高いとみて捜査を進めている。

   点滴パックは17日(2016年9月)に連休3日分が薬剤部から運び込まれ、4階ナースステーションの机に置かれていた。スタッフは平日の半分の5人で、周囲に誰もいない時間帯もあったという。未使用の点滴パック7個のゴム製の栓に貼られたシールにも不審な小さな穴が開けられていた。シールが貼られた状態なら中に異物が混入されているとは考えず、通常はそのまま使用する。こうしたことから、点滴パックの仕様などを熟知した医療現場に詳しい人物の犯行の線が浮上している。

   犯罪心理に詳しい東洋大学の桐生正幸教授は、「どの場所、どの時間帯が一番犯行に適しているか。病院の状況をよくわかっていて、なおかつ監視の少ない日や時間を知っている内部の人物の可能性が高いとみていい」と指摘する。

被害者もっと多い?8月下旬には1度に6人死亡

   殺害された患者はもっと多いのではないかという疑いも出ている。7月1日から9月20までに4階の病室で亡くなった患者は、殺害の2人の男性を除いて46人にのぼる。病院関係者は「8月下旬には夕方から翌朝にかけて1度に6人が死亡。うち4人はわずか2時間ほどの間に亡くなり、異常さにビックリした」という。

   もっと以前から異変が起きていたのではないかという疑問も出てきた。半年前に亡くなった87歳の女性は4階の病室で、栄養補給の点滴を受けていた。入院3日目、元気に話をした3時間後に容体が急変した。診断は心不全だった。夫は「意識もしっかりしていたんですよ。今は、素直に心不全の診断を受け入れることはできないですね」と話す。

   鎌倉千秋キャスターの「いまだに犯人の特定に至っていないのは、なぜなんでしょうか」 取材をしているNHK横浜局の長井孝太記者「病院内に防犯カメラがなく、誰でも出入りができました。入院患者の多くが寝たきりの状態で、目撃情報もなく、犯人が特定できないでいます」

   医療安全のエキスパートで帝京大医学部付属病院の三宅康史・救命救急センター長はこう指摘した。「これまでは医療ミスをなくすために頑張ってきましたが、新たに医療防犯、犯罪に対しても何らかの手を打たなければいけない大変な事態になったなという印象です」

   今回の事件で相模原市の障害者を狙った殺傷事件が頭をかすめた。犯人の深層部分でどこか似通ったところがあるのではないかとみるのは考えすぎか・・・。

モンブラン

NHKクローズアップ現代+(2016年10月5日放送「病院で何が? 点滴異物混入事件の深層」)

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中