弾劾採決目前、韓国国民が朴槿恵大統領へぶつける4つの怒り

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   韓国の朴槿恵大統領が今日9日(2016年12月)の弾劾採決を前に進退窮まった状態に追い込まれている。「腐敗の連鎖を断ち切る大統領になります」と宣言し大統領選に挑んだのがわずか4年前だ。断ち切るどころか財閥との癒着ぶりが暴露され、国会では財閥トップや疑惑の身内関係者が呼ばれ腐敗の実態を質す聴聞会が続き、青瓦台(大統領府)周辺では「パク・クネを拘束せよ!」の大合唱が鳴りやまない。なぜ、ここまで追い詰められたのか?番組がその背景を探った。

与党非主流派も賛成で、可決の可能性大

   弾劾議案の採決を控えた7日の韓国の状況をソウル支局の池畑修正記者が伝えた。

「全国民が今、弾劾議案の採決の行方を見守っている状態。議案を提出した野党3党に加え、与党非主流派も基本的には弾劾に賛成で、可決の可能性が高いという分析が大勢を占めている。
ただ、カギを握る与党非主流派から7日、議案の文言に難色を示す声が相次いだ。これが土壇場での投票行動に影響を与えるという見方も出ており、採択が確実とまでは言えない」

   弾劾議案を作成した野党3党は、議案の中に一昨年のセウォル号沈没事件当日の大統領の行動にも問題があったという文言を盛り込んだ。ところが、ここにきて与党非主流派はあくまで大統領の盟友・崔順実被告らの事件に関する内容に絞るべきだと主張。しかし野党3党は文言を変えるつもりはないという。

   番組には、韓国政治に詳しい静岡県立大学の奥薗英樹准教授と韓国観光名誉広報大使を務めるタレント、はるな愛がゲスト出演し、ここまで追い詰めた国民の激しい怒りの背景を探った。

   国民の怒りには4つの背景あるという。『プルトン(不通)政治』『脱財閥の失敗』『父親の朴・正熙元大統領とのギャップ』『無くならないコネ社会』。

秘書室長が週に一度も会わなかったことも

   そのなかで重視されているのがプルトン政治。「韓国と結婚する」とまで語った朴大統領は、就任直後から異様な政治スタイルが目立つようになった。極めて限られた人間としか意思疎通をせず、一人で長時間密室に閉じこもり重要な政策判断を行う政治スタイルだった。

   担当幹部から報告を受けるときも直接会うことは避け、メールやFAXなどで報告を受け指示をするのが普通になった。

   大統領の側近中の側近のはずの金淇春・元大統領秘書室長が7日の聴聞会に呼ばれ、朴大統領とどのくらいの頻度で会っていたか問われてこう答えた。「仕事があれば週に2回あったこともありますが、一度もお会いしなかったこともありました」。

   奥薗准教授によると、側近である秘書連中も『朴心』(朴大統領の心)を忖度しながらやっているしかなく、「朴心はこれだ」「いやこっちが朴心だ」と推測するのが常態だったようだという。

両親の暗殺で根強い人間不信に

   なぜ異様なスタイルになったのか?朴大統領を就任以前から取材してきたペ・ビョンヒュ記者は「プルトン政治には大統領になる前の不幸な生い立ちが影響している」とみる。

   朴大統領22歳の時、父親の朴正熙大統領の暗殺未遂事件で母親が流れ弾に当たり死亡、その5年後に父親も部下に射殺された。それ以降、側近や親しかった人たちが掌を返すように離れていった。プルトン政治の裏には根強い人間不信があるという。

   ただ、例外がいた。宗教家の娘だった崔被告だった。母親がなくなった当時、朴槿恵に近づいて友人関係を築き、朴大統領と口を聞ける数少ない人物として権力を握っていった。その崔被告は大統領の威を借りて70億円もの資金を自ら深く関わる財団に財閥から出資させた疑いがもたれている。

「脱財閥」の公約果たせず、癒着明るみに

   財閥中心の経済、癒着を断ち切るのが朴大統領の公約だったが、結局は変えられず逆に癒着が厳しく問われている。

   はるな愛によると、「韓国で化粧品の仕事をしているが、至るところの看板に財閥のロゴが入っている。財閥の息がかかっていないと客が来ない」。奥薗准教授は「そうした財閥経済と言われる構造が社会の格差をどんどん広げ、それに対する不満が爆発寸前まで来ていた」という。

   「国民に選ばれた大統領なのに、一民間人に密室で操られていたのではないか」、「財閥中心の経済を変えると宣言しておきながら変えられず疑惑まで出て裏切られた」

   これが国民の怒りの根源になって、燎原の火のように広がったという。

モンブラン

*NHKクローズアップ現代+(2016年12月7日放送「窮地に立つパク・クネ大統領 ~弾劾目前!韓国はどこへ?~」)

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