東南アジア拠点に巧妙化する北朝鮮の闇ビジネス 制裁は抜け穴だらけ
マネーロンダリングも
「東南アジアは経済成長が著しく商業の中心地。北朝鮮にとって当然、重要な拠点です。北朝鮮はいろんなフロント企業を置いている。現地企業との合弁会社だったり、現地企業の中にエージェントを置いたり、外から見ても北朝鮮とは分からない。
こうしたフロント企業を前面に立てて兵器類を販売したり、逆に東南アジアで生産されている最先端の工業製品を調達し本国に送ったりしている。もう一つ重要なポイントは合法、非合法を含め東南アジアが北朝鮮のための金融の拠点、マネーロンダリングの拠点として使われていることです」
これで国連が北朝鮮に制裁を科し北朝鮮の外貨収入の4分の1を減らすことが可能なのか?
伊東敏恵キャスターの「実際はどうなのですか?」という問いに、古川元監視メンバーは「本当にしっかりやるのは実際に難しい」と話す。抜け穴だらけ、各国が制裁に追いつけないのが実情のようだ。
そうした中で北朝鮮の最近の動きに対するアメリカのトランプ大統領の過激発言が注目されている。日米首脳会談の最中に北朝鮮が4発のミサイルを発射させたことにトランプ大統領が激怒し、「彼らのやり方に頭にきた。ミサイル防衛以外のことも検討している」と発言。「どんなことを?」という問いに「それ以上のことだ!」と答えた。
トランプ政権の安全保障担当者らが集まって先月(2017年2月)、対北朝鮮政策の抜本的見直しに着手した。果たしてアメリカによる軍事行動はあり得るのか?
トランプ政権に近いアメリカ・ヘリテージ財団のブルース・クリングナー上級研究員は「私は武器開発の阻止を目的とした軍事行動は検討されていないと思う。全面戦争になるからだ」とみる。
そこで注目されるのが15日(2017年3月)来日したティラーソン国務長官の中国での動向だ。ティラーソン国務長官は日本のあと韓国、中国を訪問する。北朝鮮への制裁をさらに強めるには中国の協力が不可欠だからだ。
そこでクリングナー上級研究員はこう指摘した。「ティラーソン長官は中国にこう伝えるでしょう。『北朝鮮への圧力をためらっていれば中国も望まない危機に直面することになりますよ』と」。
はたして中国がどう反応するか注視する必要がある。