フェイクニュース蔓延!ウソ・デタラメ承知でネット拡散「既存メディアは真実伝えない」

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   フランス大統領選で反移民感情を煽るものや候補者への中傷など、ウソと事実を混在させた巧妙なフェイクニュースがインターネットで流布されているが、9月(2017年)に連邦議会選挙を控えるドイツにも飛び火し、ドイツ政府はフェイクニュースやヘイトスピーチを放置した事業者に罰金を科す法案を議会に提出した。

   フランス大統領選第1回投票の直前、イスラム教徒たちがパリで起きた銃撃戦を喜んでいるとする動画がネットで拡散した。実際はクリケット試合で勝利を喜んでいるパキスタンの動画だった。腕組みをしている反EU派で左翼のジャンリュック・メランション候補の腕時計を拡大した写真には、「メランション候補は200万円のロレックスの時計をしている」というコメントが書き添えられた。これもデタラメだ。

   ほかにも、「イスラム教徒の高校生44%は過激派だ」「フランス国境に難民が押し寄せている」という投稿もあった。パリから鎌倉千秋キャスターは「フェイクニュースは移民に関するものが多く、大統領選の決選投票(5月7日)へ向けていまも続いています」と伝える。

ジャーナリストらが「情報真偽判別プロジェクト」

   こうしたニセ情報が投票に影響を及ぼすのを防ごうと、ジャーナリストたちがニセか事実かを判別する取り組みも始まっている。フランスの新聞社や通信社、テレビ局は組織を超えて「クロスチェック」と呼ばれるプロジェクトを立ち上げ、フェイクの可能性がある投稿記事を事実確認し、検証結果をサイトで報告している。第1回投票までにフェイクニュースと確認したのは50件、真偽が定かでないものはさらに多くあったという。

   誰が、どんな動機でフェイクニュースを発信しているのか。マイク・ボロスキは大学卒後、6年前から独自のニュースサイトを立ち上げ記事を発信している。ボロスキは「パリ市が移民のためだけに公共住宅をつくろうとしている」という"記事"を流したが、事実と異なる。

   鎌倉キャスターが「正しい情報で判断するという民主主義の土台を壊す恐れがあるのではありませんか」と問うと、ボロスキは「既存のメディアは人々が直面する現実を伝えない。フランスは偏った情報しかありません。私の目的は隠された事実を人々に教えることです」と言い放った。

社会への不満・不安に乗ってデマ拡散

   フランスで選挙動向を調査している北海道大の遠藤乾教授はフェイクニュースが拡散する背景をこう分析する。「当たり前の話ですが、フェイクニュースは送り手だけではなくて受け手が必要ですね。ルペン支持者が多い東部は、アメリカ流に言うと『ラストベルト』に当たります。炭鉱が閉まったり、あるいは製鉄工場の火が消えるといった、そういう地域で、失業率が高止まっています。

   ふと見ると、横に移民がたくさんいるというようなことで、そういう人たちからすると、移民ばっかり優遇して自分たちのことは振り返られない。主要メディアは自分たちのことはあんまり気にしてくれない、取り上げてくれないという不満を抱えているんです。東部のそういう不満にちょうどフェイクニュースが突き刺さっているんです」

   日本でも格差が固定化し、社会の分断・不満は拡大している。フェイクニュース、ヘイトスピーチに対する冷静な判断が求められれる。

クローズアップ現代+(2017年4月26日放送「選挙とフェイクニュース~揺れるヨーロッパ~」)

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