ブームの陰で「アニメ地獄」制作現場は低賃金、長時間労働、使い捨て・・・

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   「君の名は。」などのヒットで活況を呈しているアニメ業界の市場規模は、昨年(2016年)、2兆円を超えた。しかし、人気を支える現場の若い担い手たちに、低賃金、時間外労働が常態化している。

   制作に多額の費用が掛かるアニメ作品は、テレビ局、映画会社、出版社、広告代理店などが共同で出費して制作委員会を立ち上げ、制作会社に作品を委託する。作品の版権は委員会に所属し、売り上げの大半を占める関連商品や海外への販売など二次使用による利益もすべて出資した企業に入る。どんなにヒットしても、制作会社や下請け会社、アニメーターにはほとんど還元されない仕組みになっており、制作会社の4社に1社は赤字経営という。

アニメーターへの支払い「原画1枚たった200円です」

   そのしわ寄せは現場の制作担い手たちにくる。アニメ制作を下請けしている「イングレッサ」(大阪・吹田)の吉本拓二代表によると、30分のアニメ作品をつくるには3000枚以上の絵が必要で、最近は繊細さが求められるため1枚にかかる作業時間は増えているが、アニメーターに支払われるのは原画1枚約200円、作業が早い人でも1日20枚が限界だ。

   「求められクォリティー、それに見合った予算や単価付けをしてもらえれば普通に食べていけます。そこが追い付いてきていない。単価以上の仕事をこなしていることが多いですね」

   日本アニメーション演出協会は「アニメーション制作者実態調査」を行い、4割近くが最低賃金の補償もないフリーランスで、正社員はわずか15%。アニメーターの平均年収は110万円、業界全体でも333万円で、全産業の平均年収(487.5万円)を大きく下回っていることが明らかになった。

人気職業ゆえに付け込まれる「やる気の搾取」

   労働時間も長い。制作進行を担当する男性は午前11時から深夜まで仕事という日が週6日ペースであり、残業は月100時間を超えていた。仕事を始めて半年、うつ病と診断され、仕事をやめざるを得なくなった。

   アニメ業界に詳しい東レ経営研究所の渥美由喜研究員はこう指摘する。「人気がある職業で、やる気がある人たちが集まっているがゆえに、逆手に取って働き方改革が進まないんです。どうしても歯車として搾取されやすい。私は『やる気の搾取』と言っているんです。手を動かす人が一番尊重され、正当な対価が支払われる。そういう職場をつくっていかないと人が集まらなくなり、アニメ業界の存続が危うくなります」

   司会の武田真一は「ブラック労働と言われないよう、新しい仕組みを創造する時です」と訴えたが、NHKの制作下請けはどうなっているのだろう。

クローズアップ現代+(2017年6月7日放送「2兆円↑アニメ産業 加速する"ブラック労働"」)

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