2024年 3月 29日 (金)

「共謀罪」成立で超警察国家の完成へ ぬるいメディアと野党の問題意識

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   「共謀罪」が強行採決された。野党の昔ながらの牛歩戦術など、かつての社会党のように多くの議員がいた時代ならともかく、政権側への蚊の一刺しにもならない。

   国会前の反対集会に来た人が「負けることに慣れ過ぎている」といっていた。よく今の日本の"空気"を表している。

   共謀罪を戦前の治安維持法と比べる識者がいる。これに私は頷けない。スノーデンが暴露したNSAを持ち出すまでもなく、現代はもはや超監視社会である。どこかで読んだが、歌舞伎町には何十台という監視カメラが設置され、ラブホの出入りも撮られているそうだ。

   顔認証を使って、前川喜平と入力すれば、歌舞伎町でうろうろしている前川の映像は瞬時に権力側の手に入る。GPSでその人間の行動を24時間フォローすることもできる。メール、ツイッター、Facebookはもちろん、NTTは認めないだろうが、通話記録も録音されていることは、通信関係者にはよく知られている。

   昔のように、その人間を尾行したり、周りの聞き込みなどしないで、その人間の行動や考えを、瞬時に手に入れることができる時代である。

   盗聴法、個人情報保護法、共謀罪の成立で、作家の城山三郎が心配していた戦前以上の警察国家の完成である。だから安倍は何としてでもやりたかったのだ。 「加計学園問題で野党の追及から逃れるために早く国会を閉会したかった」などと朝日新聞(6月15日付朝刊)が社説で書いているが、事はそんな生易しいものではない。「民主主義はどこへ行くのか」(同)? 「かくして民主主義は死んだ」と書くべきではないか。

   世論で安倍政権を倒せないなら、嫌ないい方になるが、安倍の変調に期待するしかないのかもしれない。

   週刊新潮は、6月9日(2017年)、安倍夫妻の結婚30周年を祝った夜、10時過ぎに富ヶ谷の私邸に戻った安倍は突然体調が悪化して、慶応病院の主治医が急遽駆けつける騒ぎになったと報じている。

   入院するほどではなかったものの、翌日にメディカルチェックを受けるため、六本木のホテルのフィットネスクラブで汗を流すこととなったという。これは首相動静に書いてあることだが、安倍首相がよくフィットネスへ行くのは、そこに主治医に来てもらって、密かに診察を受けることが多いのだ。

   9日は、菅官房長官の不手際で、前川前次官が告発した文科省にある「総理のご意向文書」で追い詰められていた安倍首相が、再調査すると表明した日である。

   週刊新潮によれば、そうしたことに加えて、妻・昭恵のおかげで森友学園問題で窮地に立たされたことで、夫婦仲も険悪なまま。周囲には仲睦まじいような振りをしなければならないため、ストレスが限界まで達して、持病が悪化したのではないかと見ている。まさに前門の虎、後門の狼である。強気に見える安倍だが「夫婦はつらいよ」と頭を抱えているのかもしれない。

女性記者の身辺調査を命じた菅官房長官

   先週、"冷血動物"菅官房長官を定例会見でしどろもどろにさせた女性記者が判明した。「終わってみれば、全体の半分弱が彼女の質問に費やされ、菅長官の顔には『辟易』の二文字が刻まれていたのだ」(週刊新潮)。この女性記者、東京新聞の社会部記者で、2004年に日本歯科医師連盟の闇献金事件をスクープしている。

   今は加計問題の取材班に入っていて、菅の記者会見に行って、あまりにもほかの記者たちの質問がぬるいので、菅に質問を浴びせたのだろう。今井照容責任編集『文徒』によると、望月衣塑子記者で、神奈川県警、東京地検特捜部などを経て出産後、経済部に復帰。その後、社会部で武器輸出、軍学協同を主に取材して、私も読んだが、『武器輸出と日本企業(角川新書)を上梓している。

   だが腹の収まらない菅は、「官邸スタッフに、警察組織を使って彼女の身辺調査をするよう命じました。(中略)取材用のハイヤーをプライベートで使っていたことはなかったかということまで調査対象になっている」(官邸関係者)。先に書いたが、こんなとんでもないことが行われているとすれば、言論弾圧・警察国家を象徴する重大問題である。だが、週刊新潮はそれほどのこととは考えていないようだ。

   このところ自由党の森ゆうこ議員の質問がすごくいい。特に、文部科学省内で文書を流出させた職員が判明した場合、告発した人物を守るべきだと主張し、元ヤンキーの義家弘介文部科学副大臣の「処分の可能性あり」という発言を引き出した。「告発者を守るっていえないんですか?」と迫る森、怯えさえ見せる義家。「報復をしようという動きがあったら私は許さない」「守るために戦う」と森の決め台詞。彼女と民進党の山尾志桜里が組んだら、安倍を崩せると思う。元クラリオンガールより何倍もいい。

   文書の再調査が始まったが、週刊文春によると、この文書を作成したのも文科省の優秀な女性職員A(33)だという。

   専門教育課の課長補佐で、この文書を作成したが、「Aさんは行政を歪めようとする内閣府からの圧力に対し『ひどいじゃないですか』と憤っていた」(文科省幹部)という。

   前川前次官は、文書を朝日に流したとは認めていないし、省内メールだから彼とは関係がない。

「Aさんが内閣府からの圧力を理不尽に感じていたことは局内では知られていただけに、彼女が流したのでは、と見る向きもありました。ただ、メディアや民進党への流出についてAさんは否定しているようです」(高等教育局関係者)

   森友学園問題では、昭恵の指示なのに、彼女のお付きで経産省出身の谷査恵子が個人でしたこととされ、今夏にイタリア赴任が決まっているという。

   Aも、今夏が異動のタイミングだそうで、大学設置とは関係ない部署に移されるのではないかと噂されているようだ。こんなことをやっていては、公僕たちが叛乱を起こすことになると思うのだが。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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