売れない俳優「西尾」と大森南朋が交差する実在の居酒屋 フィクションのなかにリアリティ
〈土曜ドラマ24「居酒屋ふじ」〉(テレビ東京)

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   中目黒に実在する「居酒屋ふじ」が舞台。栗山圭介の同名小説をドラマ化。永山絢斗と大森南朋のW主演。

   永山演じる売れない俳優西尾。バイトをしながら撮影があればそちらに行くが、仕事といっても死体などの端役ばかり。ある日、お気に入りの女の子のインスタグラムに、店の写真がアップされていた「居酒屋ふじ」の前を通り、暖簾をくぐったところ、昭和の香りがする店内の壁一面には有名人のサインがびっしり。常連客たちの中に大森南朋(本人)の姿が......。大森も含めた常連客たちと会話するうちに、自分も俳優だと言ったものの、代表作を訊かれ、「2時間サスペンスとか......」と口ごもっていると、「捕まった時に一番恰好悪いのが自称俳優」などとからかわれるハメに。耐えられなくなった西尾は、「明日、戦隊ヒーローの最終オーディションなんです。レッドかブルー」と、オーディションは残念な結果に終わり、「居酒屋ふじ」の前を通り過ぎようとすると、昨夜の常連に見つかり......。と、いうように虚実ない交ぜにストーリーが進んでいく。

   永山は西尾という役を演じているが、大森は本人役。第1話では、ほかに篠原涼子、大杉漣も出て来たがどちらも本人役だからややこしい。フィクションのなかにリアリティが散りばめられ、なんとも不思議なドラマだ。

   西尾がバイト先で「明日、撮影なんですよ」と意気込んで行った翌日の撮影で死体役をやっていたのは想定内だとしても、その撮影シーン中、「相棒」の曲が流れ、亀山刑事ふうんのスカジャンを着た男の後ろ姿と、カップ片手に紅茶を優雅に入れる右京さんふうな男が映っていたのは面白かった。こういう遊びが嬉しい。

   途中、「ふじ」の名物おやじのエピソードが鉄拳のイラストで語られたり、音楽が大友良英と、朝ドラ「あまちゃん」を彷彿させるところは気になるが、それもお遊びということで許すとしよう。ナレーションは木梨憲武。深夜のドラマなのに豪華なキャスティング。実際に「ふじ」のおやじとおかあさんを慕って通い詰めた有名人たちも出演するというから楽しみだ。

   オーディションで「君の席はないよ」と言われ、俳優を辞めると落ち込む西尾に、自分が悩んでいた時、「ふじ」のおやじに自分が言われたこと語る大森。残念ながら「ふじ」のおやじはもうこの世にいないが、常連客たちの話の中でいつも生き続けている。そんなヒューマンなドラマ。正直、こんな常連で固めたような店は排他的で苦手なので、ドラマの中で楽しむとしよう。ガンバレ、西尾!

(毎週土曜 深夜0時20分~)

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