2018年 7月 19日 (木)

灘中・高校に嫌がらせの大量はがき・・・慰安婦問題触れた歴史教科書使うな

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   「慰安婦問題(事実と異なる)を記した反日極左の教科書・・・採択を即刻中止することを望む」

   こんなはがきが中学校に大量に送り付けられた。自分たちが気に入らない歴史教科書を採択したことへの抗議とも圧力とも取れる。同様のはがきは、同じ教科書を採択した他の中学校にも送付されていた。いったい誰が、何の目的で送るように仕向けたのか。

   はがきの大量郵送が分かったのは、中学校の校長が書いた論文からだった。「匿名のはがきが次々と届きだした。ひどいのはOBを名乗って『こんな母校には一切寄付しない』などの添え書きがある・・・届くたびに仮面をかぶった人たちの群れる姿が脳裏に浮かび、うすら寒さを覚えた」

   番組では名前は伏せられていたが、論文を書いたのは灘中・高校の和田孫博校長だ。論文によると、複数の自民党議員から「なぜこの教科書を選んだのか」と詰問調の問い合せがあった後、はがきが大量に届いたという。

自称・近現代史研究家が作成し投函呼びかけ

   はがきが抗議の対象とした歴史教科書は「ともに学ぶ人間の歴史」(学び舎刊)で、国の検定を通った中学校用教科書8冊のうちの1冊だった。この教科書が他と違うところは慰安婦問題に触れている点だ。従軍慰安婦がいたことを認めた河野洋平官房長官の談話を紹介している。一方で、軍や官憲による強制連行を直接示す資料は発見されていないとも記されており、内容が偏っているとは思えない。

   和田校長によると、灘中学が「学び舎」の教科書を採択したのは、子どもたちの目線で歴史がわかりやすく記述されていると考えたからという。この教科書を採択した中学校は全国で38校あり、うち29校に同様のはがきが送られていた。

   文面からはがきは2種類あり、それぞれ別の人物が作成したとみられる。1枚は日中戦争の写真付きで、作成した人物の名があった。水間政憲と名乗り、NHKの取材に、戦後の歴史教育に疑問を感じ、独自に近現代史を研究してきたと語った。はがきの制作と送り付けは「圧力ではない。啓蒙ですよ。次の採択に生かしてくださいというのが一番の狙い」と話した。自分の考えに賛同した人たちがこのはがきを購入し、郵送したという。

「教育の自由の否定」と学校側は警戒

   NHKの西川龍一解説委員はこう話す。「これまで、教科書をめぐるさまざまな意見は検定を行う国や出版社へ寄せられてきました。今回は教育現場へ抗議が向かった。とくに、建学精神で独自の方針で教育を行っている、私学の個別の学校に直接寄せられています。一つの考え、価値観を押し付けられるのではないかという危機感が教育現場に広がっています」

   はがきを送り付けられた学校は、「学校現場が委縮しないことを切に願う」「多様な思考力を育む教育否定する動きに恐さと悲しさを感じた」と危惧している。教科書問題に詳しい立正大学の浪本勝年名誉教授は「(作成者は)圧力でなく啓蒙だと言っているようですが、はがきを受け取った方は強く圧力を感じると思います」と話す。

   教育勅語を幼稚園児に暗唱させていた「森友学園」のようなことを、有名私立中学校にやらせようというのだろうか。

NHKクローズアップ現代+(2017年9月6日放送「揺れる"教科書採択"~教育現場で何が?~」)

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