2024年 4月 26日 (金)

羽生善治・井山裕太・・・不世出の棋士「負けない秘密」引き算あった!

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   史上初の永世七冠を獲得した羽生善治と20代で2度の七冠制覇を達成した囲碁の井山裕太が、将棋・囲碁界では初めて国民栄誉賞に選ばれた。なお挑戦し続いけ、その「深い大局観」や「独創的な一手」を生み出す秘密はどこから来るのか。

   羽生がプロデビューしたのは15歳。3人目の中学生棋士と注目され、18歳で現役の名人経験者全員を破った。不利な形勢から逆転に持ち込む強さは羽生マジックと恐れられた。タイトルを次々獲得し、25歳で竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖の7タイトルを制して、史上初の七冠を達成した。

   次は、それぞれのタイトルを複数回獲得する永世の称号だ。ところが、永世七冠を前に強敵が現われた。竜王の渡辺明だ。2008年の竜王戦では初戦から3連勝したが、その後、まさかの4連敗で逆転負けした。

   羽生は、30代になってから手を読む速さや記憶力の衰えたと話す。それを補ったのは勝負の流れを素早く読む大局観だった。年平均60局の実戦をこなして大局観を研ぎ澄ましていった。そして昨年(2018年)12月、9年ぶりに竜王への挑戦権を獲得した。「次はいつあるかわからない。もしかしたら最後のチャンスかもしれない」と奮い立ち、永世七冠を達成した。

打ちたいところに打つ自分らしさ

   井山の囲碁の特徴は常識にとらわれない独創的な打ち手だ。そのルーツは小学校の時に弟子入りした師匠の石井邦生九段にあった。師匠のもとに通うのに1時間以上もかかることから、インターネットで師匠と1000局以上も対局を重ねた。そのとき、師匠から「打ちたいところへ打ちなさい」と繰り返し言われたのが、独創的な囲碁スタイルを生んだ。

   12歳でプロ入りし、20歳で名人、26歳で史上初めて棋聖、名人、本因坊、王座、天元、碁聖、十段の七冠を制覇した。ところが、その重圧から持ち味の独創的な打ち手が影を潜め、半年後に名人位を失った。そんなときに井山が出会ったのがAI(人工知能)だった。セオリーに縛られずに繰り出してくる型破りの手に衝撃を受け、あの独創的な打ち手を取り戻し、昨年10月に再度の七冠制覇となった。

余分なものを削ぎ落としていく

   武田真一キャスター「羽生さんが磨いてこられた大局観とはどういう心境なのですか」

   羽生「100手を読んで正しい手を選ぶより、10手とか5手とか短い手数で正しい手を選ぶという方向性に変えていくことでした。足し算するのではなく、余分なものを削ぎ落としていく。引き算の思考で質を上げていく作業です」

   武田「長く勝ち続ける中で、どういうことを意識しやって来られたのでしょうか」

   羽生「「技術的なことも大事ですが、1年間フルに高いパフォーマンスを保ち続けることが非常に大事になってきます。健康や体調とかが大事なんじゃないかと思っています」

   羽生が井山へ質問した。「独創的なひらめきはどこから来るのですか」

   井山「特別なことをやろうと思ってやっていることではなくて、自分の感覚を信じて打ちたい手を打っています。囲碁の真理は全然わかっていないのが正直なところ。その意味で、AIがいろいろな手を見せてくれて、改めて囲碁の難しさとか深さを感じているところです」

   二人の挑戦も続く。羽生の獲得タイトル総数は歴代1位の99期で、100期目が目前、通算勝ち数も1391勝で歴代2位だ。大山康晴15世名人の1433勝を見据えている。井山は世界一への挑戦。そのチャンスが訪れようとしている。昨年12月に世界1位の中国棋士、柯潔九段を破り、2月の世界大会決勝に望む。日本の囲碁界が世界一から遠ざかって10年になる。井山への期待が膨らむ。

NHKクローズアップ現代+(2018年1月10日放送「羽生善治×井山裕太 前人未到の世界を語る」)

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