小平奈緒「怒った猫フォーム」に敵なし!スピードスケート女子『金』いくつとる?

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   スピードスケートの小平奈緒選手(31)は、W杯500メートルで15戦全勝、1000メートルでも世界新を出した。平昌オリンピックの金メダル候補の筆頭だが、メダルのことは口にしない。「究極の滑りを磨く」とまるで求道者だ。

   小平を18歳から指導している結城匡啓コーチ(信州大教授)は、データに基づいた指導で定評がある。平昌に向けても緻密な計画を作っていた。結城コーチは、小平が昨年2月(2018年)、500メートルで3年ぶりに自己ベストを更新した時のスピード・グラフを見せた。トップスピードに達したのが、3年前はバックストレートを過ぎた第2カーブ入り口だったが、この時は第1カーブの終わりだった。3年前より100メートルも手前だ。いったいどうやって進化したのか。

上半身起こして脚の押し出し強く長く

   原点は4年前のソチ五輪だった。小平は日本のエースとして「金メダル」を口にして臨んだが、結果は5位だった。表彰台はオランダが独占し、オランダはさらに8個の金メダルを含む全体の7割のメダルをさらった。

   小平は「何が足らなかったんだろう」と悩み、ソチの2か月後、オランダへ修行に出た。コーチはマリアンヌ・ティメル。長野とトリノで計3つの金メダルをとったスターだ。彼女は小平の深い前傾姿勢を「ここまでの前かがみはよくない」といい、「BOZE KAT(怒った猫)」という言葉を使った。怒った猫は上体を起こす。上体が起きると脚の可動域が広がり、氷を長く押せる。小平は「えっ、と思った」と振り返る。風の抵抗を減らすためにひたすら低い姿勢を続けてきたのに、それではダメだといわれてしまったのだ。

   戸惑いながら挑んだが、結果は出なかった。オランダでの2年間、自己ベストの更新はできなかった。「自分の感覚にすっと入ってこなくて、苦しんだ」と小平は言う。ただ、ティメルは「王者の心構え」を伝えた。「周囲に振り回されない強い気持で、自分自身が納得する滑りを追求しなさい」

   帰国した小平は、結城コーチと「究極のフォーム」を模索した。最新のスポーツ科学を駆使して、動作解析装置をつけて滑ると、ウイークポイントが見つかった。カーブを回るときに骨盤が傾いていて、右足が浮いて氷を強く押していないとわかった。

   どうすればいいか。たどり着いたのが「ヒップロック理論」だった。骨盤を左右別々に考え、筋肉を片方づつ強化する。軸を安定させれば、カーブでも氷を強く押せる。それに特化した10種類ものトレーニングを地道にやった。カーブワークも磨いた。1本歯の下駄を特注して、レース前に筋肉を確かめるのは小平のアイデアだ。

   小平は「眠っていたものをシンプルに呼び起こすことができるようになった」という。なお究極のフォームを目指しているが、頭の位置は「怒った猫」になっている。「自己流のフォームに改善できたのかなと思う」「学びを積み上げてきた人が強い」

男子選手並みの「200メートルでトップスピード」

   小平の自己ベストは2013年11月に出した37秒29だったが、昨年2月に37秒13と更新すると、同じ月に36秒75、12月には36秒53、さらに36秒50と更新が続いている。

   長野五輪500メートルの金メダリスト、清水宏保さんは「(小平のように)最初の200メートルでトップスピードになるのは、過去の女子選手にはいません。男子の領域に入っている」という。さらに「4年前と比べて、眼差しが変わっていますね。自分の実力がどこまで通ずるか、ワクワクしながら滑ってる感じですね」

   小平の好調は続く。7日(2018年2月)の練習では、オリンピック記録を上回った。スピードスケート女子は12日に1500メートル、14日に1000メートル、18日に500メートル、21日にパシュート決勝、24日にマススタートが行われる。

NHKクローズアップ現代+(2017年2月8日放送「ピョンチャン五輪 極限への挑戦 スピードスケート 小平奈緒」)

文   ヤンヤン
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