五輪の陰で繰り広げられた日米朝韓のホットな外交戦 北のほほえみ戦術にまんまと踊らされた韓国ムン大統領
悪名高い北の強硬派まで受け入れて握手したムン大統領
このレセプションの翌日、北朝鮮は突然、米朝会談の中止を申し入れてきた。米朝の接触は不発に終わった。
2月25日の閉会式でも動きがあった。北朝鮮の高位級代表団がムン大統領との会談の中で米国との対話を求める考えを示した。前のドタキャン行動と矛盾するが、「ペンス副大統領の強い姿勢が予想されたので避けたのでは。実務的対話から始めたいということだろう」と、平岩俊司・南山大教授は推察する。日米と北朝鮮の駆け引きが五輪のお祭り騒ぎのうしろで激しく続いていたのだ。
はっきりしているのは韓国ムン政権が融和に傾斜していること。NHKソウル支局の池畑修平記者は「北朝鮮の核放棄を、日米は融和の入口に置いているのに対して、ムン大統領は出口でいいと考えている。この隔たりは大きい」と話す。
当面の問題は、オリンピックで延期された米韓合同軍事演習だろう。平岩教授は「米韓の演習が予定通りの時期と規模で実施されるかどうか」を注視する。
安倍首相はオリンピック開会式から帰国後もムン大統領と電話会談して「非核化は何一つ進んでいない」と米韓合同軍事演習の必要を強調したが、ムン大統領は姿勢を明確にしなかった。
平岩教授は「合同軍事演習で米韓がどう協力し、それに北朝鮮がどう反応するかで、今の流れの意味がわかる」という。
韓国政府は五輪開会式のキム・ヨジョン氏ばかりか、閉会式ではヨンピョン島砲撃で悪名高い対韓強硬派まで受け入れて握手した。韓国がこのペースでまんまと北朝鮮に踊らされては、国連決議から進めてきた経済制裁にも抜け穴ができてぶち壊しだ。それではミサイルの射程にすでに入っている日本としてはたまらない。オリンピックは終わったが、北朝鮮の危険きわまる問題はまだ終わらない。