2018年 10月 15日 (月)

<Blank13>
自分を捨てたずるくて身勝手な父親と再会!アラサー男子に見てほしい

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(C)2017「blank13」製作委員会
(C)2017「blank13」製作委員会

   斎藤工監督・高橋一生主演といううたい文句に、戦々恐々とした気持ちで映画館に向かった。二人が並べば、どんな内容であっても、ある程度の「アラサー女子の満足」は約束される。だからこそ、内容を見てしまうのが怖いような気持ちで臨んだのだが、正直良かった。むしろ、アラサーはアラサーでも、男子こそ観てくれ、人の数だけ親子の関係は存在する、性格云々はさておいて育ててくれた恩は感じるという人、父が永遠の憧れという人、尊敬しているけど気は合わないという人こそ、忘れかけていた「親父と俺」の一片を思い出す。

   高橋一生演じる「コウジ」の父は、コウジが小学生のときに借金を残して失踪した。残された母の苦労はすさまじく、その背中を見てそだった兄と自分は、成人して日が経った今も、父を許せずにいる。

余命3ヶ月と言われて病室を訪ねると・・・

   そんな父が胃がんで余命3か月だという知らせがあった。母にあんな苦労をかけた男のことを許すことはできない。けれど、その男に死が間近に迫っていると聞くと、幼い日の楽しい思い出もまた、思い出される。葛藤の中、病室を訪れたコウジは、依然としてその日暮らしの父に失望するが、野球少年だった自分のことを心に留めつづけていたことを明かされ、「できることなら父を嫌いになりたくはなかったあの頃」を思い出して心を乱す。

   そして、父は逝った。告別式に集まったのは、いかにもいわくありげな面々ばかり。だが、住職が「故人との思い出を語ってお別れとしてください」と言い出したことをきっかけに、コウジと兄は自分たちが知らなかった父の姿を知ることになる。

   雀荘に入り浸っていた父、パチンコ屋で働いていた父、オカマバーのママと同棲していた父、息子に見せたいとしょうもないマジックを練習していた父、そして......。

「神野美鈴」悲しくて強くて優しい母親を名演

   要所で挟まれるドラムスの音が、まるで人の鼓動のように作品に息を吹き込む。自分の知らないどこかで生きていた父の時間、それが止まり、唐突に答えあわせが始まる。後半の「告白」で伏線をきれいに回収しすぎてしまったきらいもあるけれど、それが作品の大きな救いになっている。

   名演だったのがコウジの母役を演じた神野美鈴だ。抑制され、凪いだ表情の裏に、悲痛、諦め、怒り、赦し、慈愛がじわりとにじむ。ラストシーンの「画になる」たたずまいは、ズルいの一言である。ろくでもない人、でも憎めない人、でもやっぱり憎い人。そして、物語の説得力を一身に背負うリリー・フランキーに拍手。ああ、実家帰らないと。

(ばんふぅ)

おススメ度 ☆☆☆

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