2024年 4月 28日 (日)

小学校の正式教科になった「道徳」 迷いながら教師たちの試行錯誤が続く

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「国や郷土を愛する態度」の授業は政権の国家観の押し付けにならないか

   これはしっかりした事例だが、武田真一キャスターも「どの先生もこうできますかね」と疑問を投げた。尾木さんは「先生によって力量差が出ます。一つの価値を、一つの授業で、一つの話でやることに無理があります」「大谷翔平選手の二刀流のように、パターンを覆す人が出にくくなる」と指摘した。

   子どもによっては、先生の考えに合わせることがストレスになる可能性もある。評価は数値でなく文章で行ない、入試には使わないというが、異なる意見がきっかけで、返っていじめにつながりかねないという危惧も根強い。

   危惧はほかにもある。政府や政権をとる与党の考え方を押し売りする場にならないか。そうでなくても、教育の場に国旗や国歌を半強制的に持ち込もうとする政策があり、論争は終わっていない。「国や郷土を愛する態度」あたりは、保守的な国家観につなぎたがる動きと結びつきやすい。

   「クローズアップ現代+」がこの「国や郷土を愛する態度」の授業を取り上げなかったのは、争点を避けたのか、それともやっている授業自体がなかったのか。その問題の取捨選択、あるいは回避の有無はわからないが、国家主義注入の危険をスルーしては道徳教育は語れない。

   子どもにタブレット端末を配り、入力した意見から考えを集約する試みもある。少数意見も読める。使われた単語を丸で表示し、使われるほど丸が大きくなるという。クラスを班に分けて、テーマを子どもたちに選ばせる授業も行われている。

   「家庭も学校で習うことを把握して、地域も子供たちを包み込んでいくといい」(尾木さん)、「慎重な声はいっぱいあります。関心を持ち続けていきたい」(武田キャスター)

   どんな道徳教育が適当か不適当か、気配りすべき問題は深く、広い。

   

   ※NHKクローズアップ現代+(2018年4月23日放送「"道徳"が正式教科に! 密着・先生は?子どもは?」)

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